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【ミラノオリンピック】坂本花織から中井亜美へ 健闘を称え合う姿に見る「美しい世代交代」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 宮原はそう答えていた。それは、中井がミラノでSP後に語っていた答えに近い。中井の場合、リンクにあるオリンピックのマークだったが、上を見るか、下を見るかだ。逆に言えば、オリンピックは"印"でしかない。リンクに立ったら楽しく滑れるか、どんな演技をするか、彼女たちはそれを日々研ぎ澄ましているのだ。

 ミラノ・コルティナ五輪では坂本が銀メダル、中井が銅メダルを勝ち取り、千葉百音も4位に入った。

 上位の選手たちは衝動に駆られたように、お互いの健闘を讃え合っていた。千葉はリーダーズチェア(フリーで暫定1位の選手が座る)からアリサ・リュウの好演に惜しみなく拍手を送り、中井は演技後、メダルを手にしたことがわかったとき、アリサに抱きつかれて歓喜に涙し、坂本はメダルを逃した千葉を強く抱きしめ、千葉も嗚咽を漏らしていた。

 誰が時代を引き継ぐのか。それはわからないが、そこに彼女たちが生きる時代の風景があった。

〈スケートを生きる〉

 そんな境地に達した選手が、次の時代を率いることになるだろう。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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