宇野昌磨が語った本田真凜とのアイスダンスへのこだわり「スキルを1〜2割しか引き継げなくて難しかった」
『Ice Brave』でアイスダンスに初挑戦した宇野昌磨(右)と本田真凜この記事に関連する写真を見る
【名プログラムの再演で新たな一歩】
6月14日に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園アイススケート場で開幕した、宇野昌磨のアイスショー『Ice Brave』。冒頭、『Great Sprit』で登場した宇野は、いきなり現役時代同様の勢いある力強い滑りを見せた。
さらにその演技に加わった6人のスケーターも、乱れのないスケーティングを披露する。ドラムの強い音が会場に響きわたり、観客は熱狂。一気に"宇野昌磨の世界"となった。
初となる自身のプロデュースで、楽曲のほぼすべては彼が現役時代に滑ったもので構成。コンセプトの立案から構成、キャスティング、振り付けなど、宇野自身がすべてに関わってつくりあげるアイスショーだ。
出演者は、彼のコーチだったステファン・ランビエールと、中野耀司に櫛田一希、唐川常人、そして本田真凜と本郷理華。その7人全員で2023−2024シーズンのエキシビション『Come Together』を踊り、そのあとはMCタイムで出演者を紹介した。
続いて、ランビエールと2015−2016シーズンのショートプログラム(SP)に使用した『Legends』で共演。ふたりはシンクロするような動きで3回転トーループやダブルアクセルを跳び、スピンやステップも流れのある滑りを見せると、終了後は肩を組んであいさつをする。
ショー開始からの15分間、宇野は出ずっぱりで力のこもった演技と、ショーへの強い気持ちを見せつける。
「現役の時のプログラムをメインにしていて、過去のプログラムを現在の自分がやる。そして、いろんな新たな挑戦も。今まではスケートの技術のみを毎日磨いてきましたが、自分がおろそかにしていた部分にあらためて挑戦し、過去、現在、そしてこれからいろんな第一歩を踏み込むという意味で、『Ice Brave』というショーをつくりあげました。
すべてのプログラムに思い出があります。『ボレロ』は1年間でもっとも完成したと思えるプログラムだからやっぱり最後に持ってくるとか、『See You Again』もかなり前のエキシビションナンバーだけど、長く使っていてすごくいい演目だと思っているからやろうとか。
僕が出ないナンバーを(出演者に)教える時には自分がどうやっていたとか、ここができなかったんだとか、どうやって教えるのがいいのかとか、いろいろな経験ができてすごく貴重な経験をさせていただきました」
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著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。