宇野昌磨が語った本田真凜とのアイスダンスへのこだわり「スキルを1〜2割しか引き継げなくて難しかった」 (3ページ目)
【仲間とつくり上げるのが好き】
終演後、「現役時代が恋しくならなかったか」という記者の質問に「まったくないです」と即答した宇野だが、「アイスダンスへの興味は湧いてきたか」との質問には、笑みを浮かべながらこう語った。
「アイスダンスプログラムをコラボナンバーとして見られたくはないという思いがすごくあったので、そういう質問をいただけるのは僕たちにとってもうれしい。もっとすばらしいものをふたりでこのアイスショーの期間でつくれたらいいなとは思っています」
宇野はさらにこう話す。
「もっともっと成長できるなという自信がある一方で、すごくよく頑張ったなと思います。皆さんの拍手が素直にうれしかったというか、今日までやってきた練習をすごく褒められたような気持ちになった。シングルの時は自分のやっているものへの培ってきた年月と、自分の結果がどうなるかだけだ、ということで緊張していたから、声援とか拍手がここまで助けになる瞬間はなかなか味わえなかった。でも今回は、すごく気持ちよく滑らせていただくことができました」
休む間もなく体力の限界まで突っ走るようなアイスショー。そんなハードな公演をやりきれるのも、一緒につくり上げてくれた仲間がいたからだ。
「今日は『ロコ』だけソロで滑りましたが、ひとりで滑ることがさみしかった。僕自身、他のショーをやった時もそうですが、みんなと一緒につくりあげたり、みんなで同じ方向へ向かってつくっていくのがすごく好き。今はそれにすごくやりがいを感じるし、好きだなと思いました」
宇野は、心の底からスケートを楽しむような、晴れ晴れとした表情で滑っていた。仲間と新たなものをつくりあげること。今の宇野にとって、それが至福の時なのだ。
仲間とともに新たな表現の世界を披露した宇野昌磨この記事に関連する写真を見る
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
フォトギャラリーを見る
3 / 3