宇野昌磨が語った本田真凜とのアイスダンスへのこだわり「スキルを1〜2割しか引き継げなくて難しかった」 (2ページ目)
【コラボではなくプログラムとして魅せる】
本郷と中野が『La Vie en rose』を演じると、そのまま唐川と櫛田、ランビエールがテーブルと椅子を用意して氷上に合流し、一緒に『Time After Time』を演じる。そんな2プログラムを連動させた寸劇のような演出もあれば、宇野と唐川と本田が『タンゲーラ』を演じ、そのまま残った本田が『天国への階段』を情熱的に舞うなど、途切れる間もなく演技が続く。
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そして宇野が、唯一ひとりで演じたのが、2016−2017シーズンのフリープログラム『ブエノスアイレス午前零時/ロコへのバラード』。久しぶりにこのプログラムを演じた理由をこう語る。
「当初の『ロコ』をけっこう気に入っていて、あの時のクオリティを出せないという思いがあった。でも、年月を経た今ならではの『ロコ』が出せるのかなと思うようになりました。それとともに、『Ice Brave』が本当に自分の今までのいろんな軌跡、自分の思い出だったり、見る方にとっても思い出のある演目をたくさん入れたかった」
宇野はそのプログラムを冒頭のトリプルアクセルなど計5本のジャンプを入れて力強く滑る。
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そして、そのあとはランビエール単独の『Gravity』。これはランビエールの振り付けで、2022−2023シーズンの宇野のSP。会場中に星を散りばめたような照明のなか、3回転トーループやダブルアクセルも入れながら、心の解放感を見るような滑りにふたりの心の深いつながりも感じさせる。
後半へ入り、観客を圧倒したのは本田と滑った『Wild Side』だった。
「アイスダンスのプログラムを1曲入れたいと思っていて、去年10月頃から靴やエッジを替えて準備をしていました。実際にやってみるとシングルとアイスダンスでは本当にいろんな勝手が違い、自分がこれまで培ってきたスキルも1〜2割しか引き継げなくて難しかった。それでも、初めてアイスショーをプロデュースするので、いろいろな新しい挑戦をしたかった。それを単なるコラボレーションではなく、しっかりプログラムとして成立するものにしたかったんです」
そんな宇野の思いがそのまま出るような演技は、息の合ったステップだけはなく、ツイズルやダンススピン、ダンスリフトもしっかりとこなす、プログラムとしてまとまった演技だった。
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