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【世界フィギュア女子】坂本花織「うれしくて泣いて、悔しくて泣いて」 4連覇逃すも五輪へ「身が軽くなった」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【五輪へ向けて「身が軽くなった」】

 坂本は、今回の結果を次の五輪シーズンに向けて前向きに捉えている。

「目標に掲げた4連覇は達成できなかったけれど、それで身が軽くなったといえば軽くなった。この結果を経験できたおかげで次は挑戦者の気持ちで挑めるので、次の五輪に向けて大事な経験だったのではないかなと思います。今のこの悔しさは、きっと必要な経験だったのだろうなと感じています」

 世界選手権4連覇という肩書きをもって五輪に臨むのと、それを一回肩から降ろして新たな気持ちで臨むのとでは精神的な重圧もまったく違う。それは今回の、ひとつのプラス材料だったという。

 またフリーの前半の3連続ジャンプと後半の連続ジャンプは回転不足の判定だったが、これは今季からの新たに挑戦しているもの。以前は苦手にしていた、基礎点がもっとも高い3回転ルッツを2本入れるために3連続をオイラーが入ったものにした。

 さらに3回転+3回転を基礎点が1.1倍になる後半に入れたのも昨年12月のGPファイナルから。それは、昨年11月のNHK杯ではシーズンベストの231.88点を出したが、そこにさらに上積みしたいという狙いからだ。

 また、来季へ向けてはプログラムの選択への期待もある。2022年の世界選手権では、ブノワ・リショーの振り付けで自己最高得点を236.09点まで伸ばしたが、そのあとは新しいチャレンジをしたいと振付師をかえ、これまでやらなかったジャンルの曲にも挑戦している。

 そのなかで坂本は「ここ数年はショートが自分のなかで悩みだった」とも明かしているが、それも含めて今の自分のよさをもっとも発揮しうるプログラムを選ぶ準備もできているといえる。

 2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のライバルとして、今回は不調だったグレンやキムだけではなくリュウも台頭してきた。坂本は最終章でもあるシーズンへ向けて全開で挑む準備をここから始めていく。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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