宇野昌磨の引退で鍵山優真が担う日本男子トップの自覚「世界選手権で優勝を狙う」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【新たな表現世界に挑む山本草太と佐藤駿】

 ほかにも、昨季は全日本選手権で3位に入った山本草太(24歳/中京大)はSPの『Split, Postcards from Far Away』を披露。ブノワ・リショー氏の振り付けで、つなぎが複雑な動きになっただけではなく、スピンやステップシークエンスも動きのなかに余韻も感じさせる深みがあり、クールな雰囲気のプログラムだった。

 また、昨季の四大陸選手権で自己最高得点を出して2位になった佐藤駿(20歳/エームサービス・明治大)はSPの『Ladies In Lavender』を滑った。

 北京五輪アイスダンス王者のギヨーム・シゼロン氏の振り付けで、優しい曲調の出だしは細かい動きの連続で雰囲気をつくり出し、つなぎの滑りや緩急をつけたステップシークエンスでは腕だけではなく指先の使い方にも神経を張り巡らせた丁寧な滑りだった。

 新たな表現世界に意欲的に取り組んでいる山本と佐藤も、鍵山や三浦とともに今季見逃せない存在になりそうだ。

プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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