宇野昌磨の引退で鍵山優真が担う日本男子トップの自覚「世界選手権で優勝を狙う」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【三浦佳生は差別化で世界トップへ挑む】

 一方、鍵山と同じように、新フリーの『Umbrellas Of Cherbourg / Les Parapluies de Cherbourg』を披露した三浦佳生(19歳/オリエンタルバイオ・明治大)も新たな挑戦している。

「曲自体が好きで、前々からやってみたいなと思っていた。今年の世界選手権で韓国のペアが使っているのを見て、本当にいいプログラムだなと思って、自分も印象を変えたいなと思って選びました」

 こう話す三浦は昨季、『進撃の巨人』で激しい滑りを見せていた。だが、その演技に不満を感じたという。

「自分の演技を見返してあらためて、フィギュアスケートをしていないなと感じました。ジャンプを跳んで盛り上がって......というのはあるけど、"男受け"のいいプログラムというか。競技的な点数面もそうだけど、自分が『フィギュアスケートをしてないな』という印象でした。

 きれいに滑るところもないし、スケートで魅せるというより自分のパワーだけという感じだった。だから自分のスケートをもっともっと磨いていき、こういうプログラムを滑ればもっと点数ももらえるような気がしました。

 見ている皆さんには、僕には(新フリーの)曲のイメージはあまりないかも知れないけど、自分は聞いた時から、合うんじゃないかなという感じがあって、滑っている姿も想像もできました。

 他の人とは差別化できるようなプログラムをつくりたいというのもあります。世界選手権で表彰台に上がった(イリア・)マリニン選手や鍵山選手、(アダム・)シャオ イム ファ選手という3人と戦っていくために、技術面ももちろんそうだけど、そういった差別化も絶対に必要かなと」

 振り付けは、昨季のフリーと同じシェイ=リーン・ボーン氏。最初はしっとりとした雰囲気のなかでも体を大きく使う、つくり込んでいるのがわかる滑り。そんななかで4回転ループと4回転サルコウを跳ぶと、音が強くなったところで4回転トーループを跳び、迫力があるフライングキャメルスピンのあとは、昨季より関節の可動域を大きくした動きで丁寧にステップシークエンスを滑り、力強さのなかに柔らかさも組み込む滑りを見せた。

 昨季は世界選手権に初出場したが、調子はよかったにもかかわらず気負いから空回りし、総合8位と悔しい思いをした。まだ、ジャンプの完成度は高くないが、「今季は悔しさを晴らしたい」という強い思いを感じさせるプログラムになっている。

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