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坂本花織「やれてあと数年」と語る覚悟と挑戦 「あれに比べれば今年はマシ」昨季の苦しみを経て世界フィギュア3連覇へ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●「やれてあと数年」挑戦と覚悟

 2017−2018年シーズンからプログラムの振り付けをしてもらい坂本を五輪メダリストと世界女王へ押し上げたブノワ・リショー氏から離れ、昨季から新しい挑戦をしている坂本。その理由をこう説明している。

「やっぱり、ブノワ先生にプログラムをつくってもらった5年間があるからあそこまでいけたんだと思うし、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。でも、10年後まで現役でやっているというわけにはいかないし、やれてあと数年だと思っている。

 挑戦する時間も限られているし、やりたいことをやってみたいなとも思って。だから五輪が終わったのを区切りとして、ブノワ先生から一旦離れて、自分のやりたいようにやっている最中です」

 坂本はゴールデンウィーク中にカナダ・モントリオールへ行き、2週間かけて振り付けを練習してきたが、そこでの収穫も大きかった。

「(カナダでは)毎日、朝と夕方にスケーティングスキルの練習をたくさんやりました。本当にすばらしいスケーターの方々にスケーティングをいっぱい教えてもらったので、それをしっかり練習して今季の試合に活かしていきたいです」

 坂本は合宿での手応えを口にする。

「『ドリーム・オン・アイス』でも『ファンタジー・オン・アイス』でも、みんなからスケーティングがよくなったと言われたので、成果が出ていると思います。以前はどうしても力任せで滑ってしまうことが多かったけど、ストレスがなくてもいかにスピードに乗っていけるかというのをモントリオールで学びました。

 それがたまにわからなくなる時もあるけど、今回の合宿でザカリ先生にも教えてもらえたので、もっと練習してシーズンに入ってもやれるようにしたいと思っています」

 新シーズンで目指すのは、全日本3連覇と世界選手権3連覇だ。

「特に世界選手権は去年と今年、振り付けに行ってすごくいい経験をさせてもらったモントリオールで開催されるので、そこにはぜひとも出たいし、去年よりいい成績で終わりたいなと思っています」

 坂本は力強く言う。

「みんなと同じ要素でも頭ひとつ抜け出して、『やっぱりこれが一番だよな』と言ってもらえるようなジャンプやスケーティングができたらいいなと思っています」

 さらに上を目指すその気持ちにブレはない。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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