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坂本花織「やれてあと数年」と語る覚悟と挑戦 「あれに比べれば今年はマシ」昨季の苦しみを経て世界フィギュア3連覇へ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●「あれに比べればマシやな」

 昨季前半、坂本は苦しい戦いを続けた。自身、メダルを獲れるとは思っていなかった北京五輪で、ロシア勢の一角を崩して銅メダルを獲得し気持ちは燃え尽きていた。

 そんな状態で次の世界選手権へ向かっている時、ウクライナへの侵攻でロシア勢が大会に出場できないことが決定。五輪銅の坂本が優勝しなくてはおかしい、と言われるような状況になり、調子が上がっていなかったことも加えて大きなプレッシャーを感じた。

 だがそうしたなか、自己最高の236.09点で初優勝。北京五輪、世界選手権の"二重の燃え尽き"によりモチベーションが保てずにいた。自分の気持ちを上げていくのに苦しんでいたのだ。

 だが、今季はその心配はない。坂本はこう話す。

「昨季のグランプリ(GP)シリーズでは調子が悪いなかで中途半端に上の順位にいっちゃっているなという気持ちがあったけど、練習もできず調子も上げられないで臨んだGPファイナルで5位になって、『あっ、これでいいんだ』と思えて。

 そこからはすごく練習も充実して全日本選手権ではぎりぎり最低限をできるラインまで持っていけました。世界選手権は連覇できたけど完璧ではなかったし、自分のなかではまったく納得できる演技ではなかったので、いい宿題をもらって帰ってきたという感じでした」

 シーズンオフには初めて、自ら1週間スケートから離れる時間をつくってみた。

 昨季とは違ってモチベーションを保てた理由を問われ、坂本は「休みがよかったのかよくわからないけど、去年が一番悪かったから『あれに比べれば今年はマシやな』と思えているのかもしれませんね。

 だから今はスケートが楽しいという気持ちで滑れているので、心身ともにいい状態かなと思います」と明るい笑顔を見せる。

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