高橋大輔「まだまだスタート地点じゃないかと」 かなだいの「物語」は続くのか? 今季ラストダンスで自己ベスト (4ページ目)
●物語の続きは......
「5分間練習から、『頑張れ』ってお客さんの声援をもらったり、終わったあとの歓声だったり、それを滑って肌で感じられて......」
高橋はそう言って、今も競技者を続ける愉悦を語った。リンクサイドでは、長光コーチがぴょんぴょんと跳んでいた。タイムスリップしたような光景だった。
「現役って緊張感も高くて、よかった、悪かったというのはあるんです。でもすべて含めて、日々の生活ではなかなか感じられない感覚で。それはすばらしいことだし、素敵なことだなってあらためて思いました。
運命を感じるプログラムを、思い入れのある場所で、最高の演技ができたのはうれしいです。16年ぶりで、哉中ちゃんとアイスダンサーとして、いい思い出にできて。だから、ここに来るために今シーズンがあった!って感じちゃおうかなって思っています(笑)」
ふたりにとっての2022−2023シーズンが終わり、どこへ向かうのか。しばらくはアイスショーやイベントに出演し、その間にふたりで話し合い、現役続行かの結論を出すという。世界選手権、国別対抗戦の演技で、違う次元に入りつつあるだけに......。
「(アイスダンスは)やればやるほど、お互いの考えがわかってきて。どういう形であれ、演技ができる間はやっていきたいという話もしています。まだまだ、わかり始めたスタート地点じゃないかと」
高橋の言葉だ。それは新しい物語の兆しか。ふたりは同じ船に乗る。
世界国別対抗戦2023記事一覧>>
スポルティーバ MOOK [フィギュアスケート特集]
『NEW ERA 』
日本フィギュアスケート2022-2023シーズン総集編
4月17日に発売!
詳細やご予約・ご購入はこちら>>
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
フォトギャラリーを見る
4 / 4