高橋大輔「まだまだスタート地点じゃないかと」 かなだいの「物語」は続くのか? 今季ラストダンスで自己ベスト (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●「次の予感を抱いてしまう選手」

「(高橋)大輔は夢を見せてくれるんです」

 今回、マリナ・ズエワコーチが不在で、リンクサイドに立った長光歌子コーチは、かつてのインタビューで啓示的な話をしていた。

 高橋のシングル時代、二人三脚の濃厚な師弟関係で、2007年に高橋が世界選手権を『オペラ座の怪人』で初めてメダルを獲った時のコーチでもある。

「ファンの方には、(高橋の競技人生は)ジェットコースターって言われているくらいで、アップダウンですよ。

 でも『そんな物語を書いたら、くさいな』って思うことをやってのけちゃう。『だって、大輔やもん』って。次の予感を抱いてしまう、そんな選手ですね」

 長光コーチが語っていたように、アイスダンス転向3年目で世界トップテンに迫るところまできた。

リンクサイドに立った長光歌子コーチ(左)リンクサイドに立った長光歌子コーチ(左)この記事に関連する写真を見る 4月14日、フリーダンスの『オペラ座の怪人』で、かなだいは役に入っていた。高橋は怪人ファントムそのもので、RDの陽気で明るい空気感はない。狂気を帯びた愛と芸術性の塊だった。

 一方、村元も歌手クリスティーヌの気配を身にまとっていた。

「本当の物語でも、『オペラ座の怪人』ではファントムの力があってこそ、クリスティーヌも輝けました。

 そこは重なるところがあって。私も大ちゃんと組めたことでアイスダンスに戻ってこられて、こうやってできていて」

 村元は胸中を明かしている。

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