高橋大輔「まだまだスタート地点じゃないかと」 かなだいの「物語」は続くのか? 今季ラストダンスで自己ベスト (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●ベスト更新の幸せな4分間

 フリー冒頭から、ふたりは観客を引き込んだ。ストレートラインリフト+ローテーショナルリフトをレベル4で決めると、一気にエネルギーが沸騰した。

 ダンススピンはふたりの白と黒の衣装が溶け合って、ひとつに交わったようだった。いつもは後半に乳酸がたまるワンフットもレベル3でクリア、最後のコレオリフトも見事に成功した。声にならない声をふたりは一身に浴びていた。

 フィニッシュポーズのあと、村元は首を体ごと後ろに反らせ、会場を沸かしている。

 それは16年前、高橋がシングル時代に同じ舞台で滑った『オペラ座の怪人』へのオマージュだった。ファンの間で「オーマジュのポーズでは?」とささやかれていたものに、エッジを効かせた。

「試合前に大ちゃんと、『覚えてたらやってみる!』って話していて、覚えていたのでやってみました」

 村元はいたずらっぽく語っている。

「今大会の前に、大ちゃんの『オペラ座の怪人』を見てみようと思って。モチベーションアップじゃないですけど。

 やっぱり、16年ぶりに滑るってすごいなって感動して。本当に幸せな4分間でした!」

 ひとつの完成形だった世界選手権を超える演技で、シーズンベストの116.63点だった。

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