「かなだい」ミスのあとに見えたふたりの歴史 世界フィギュア10位入りへ高橋大輔「自信あります! 言霊です」 (2ページ目)
●ミスのあとに見えた「歴史」
「僕は最初のツイズルで回りすぎてしまって」
高橋は正直にそう告白している。
「前半は緊張感もあって、うまく合わず。ツイズルの途中でカウント忘れて、『何回、回ったっけ? 哉中ちゃん、もう終わっているし、間に合わない!』って焦って(笑)。
スローモーションになるくらい、めちゃくちゃ色々考えていました。ヒヤッとしましたね。アイスダンス1年目だったら、焦ってしまい、最後まで引きずっていたかもしれません」
そこでのリカバリーに、彼らの「歴史」が見える。
村元の反応も、信頼し合うパートナーだからこそだった。
「あれ、大ちゃん、(ツイズルを)1個多く回ってる。はてなって感じでした」
村元が心境を明かすと、取材現場が笑いで包まれた。高橋も目を合わせ、いたずらが見つかったような照れ笑いだ。
「その時は回りすぎたのか、少しずれたのか、わからなくて。自分の回転が少なかったのか、とも思いましたが、自信を持って滑れていたので。
ただ、大ちゃんを意識しながら滑っていたし、そこからはうまく合ってきました。ツイズルはレベルもとれていましたし」
実際、ツイズルはレベル4を獲得していた。そして、ふたりの奏でるリズムは尻上がりによくなっていった。
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「途中までは、ふたりの世界観だったんですけど」
高橋は言う。
「ミッドラインステップに入る前、足に疲労がくるんで。そこでお客さんの盛り上がりがヘルプになりました。会場の色というか、雰囲気がとてもよくて。落ち着いて、包まれるような」
軽快なミッドラインステップで、かなだいは観客の心をつかんでいる。空間を共有し、一体感が出た。全員がアイスダンスを楽しむ空気があった。
その勢いに押されるように、ローテーショナルリフトもレベル4と大きなミスなく締めくくっている。
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