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「かなだい」ミスのあとに見えたふたりの歴史 世界フィギュア10位入りへ高橋大輔「自信あります! 言霊です」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●ミスのあとに見えた「歴史」

「僕は最初のツイズルで回りすぎてしまって」

 高橋は正直にそう告白している。

「前半は緊張感もあって、うまく合わず。ツイズルの途中でカウント忘れて、『何回、回ったっけ? 哉中ちゃん、もう終わっているし、間に合わない!』って焦って(笑)。

 スローモーションになるくらい、めちゃくちゃ色々考えていました。ヒヤッとしましたね。アイスダンス1年目だったら、焦ってしまい、最後まで引きずっていたかもしれません」

 そこでのリカバリーに、彼らの「歴史」が見える。

 村元の反応も、信頼し合うパートナーだからこそだった。

「あれ、大ちゃん、(ツイズルを)1個多く回ってる。はてなって感じでした」

 村元が心境を明かすと、取材現場が笑いで包まれた。高橋も目を合わせ、いたずらが見つかったような照れ笑いだ。

「その時は回りすぎたのか、少しずれたのか、わからなくて。自分の回転が少なかったのか、とも思いましたが、自信を持って滑れていたので。

 ただ、大ちゃんを意識しながら滑っていたし、そこからはうまく合ってきました。ツイズルはレベルもとれていましたし」

 実際、ツイズルはレベル4を獲得していた。そして、ふたりの奏でるリズムは尻上がりによくなっていった。

この記事に関連する写真を見る 日本人特有のアジリティを生かした機動力で、ラテンダンスを演出していた。

「途中までは、ふたりの世界観だったんですけど」

 高橋は言う。

「ミッドラインステップに入る前、足に疲労がくるんで。そこでお客さんの盛り上がりがヘルプになりました。会場の色というか、雰囲気がとてもよくて。落ち着いて、包まれるような」

 軽快なミッドラインステップで、かなだいは観客の心をつかんでいる。空間を共有し、一体感が出た。全員がアイスダンスを楽しむ空気があった。

 その勢いに押されるように、ローテーショナルリフトもレベル4と大きなミスなく締めくくっている。

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