宇野昌磨は「練習につながる試合、試合につながる練習」を意識。優勝したスケートカナダで見えた精神面の安定 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

垣間見えた精神面の安定

 これまでずっと目標とし追いかけ続けていた羽生結弦やネイサン・チェンが競技から離れ、同じ土俵で戦えなくなった今季、宇野が意識するのは自分を限界まで成長させるということ。10月上旬のジャパンオープンの公式練習でイリア・マリニン(アメリカ)が4回転アクセルを含む4回転6種類7本の構成に挑んだ姿に影響された。

「4回転ルッツはちょっと諦めた時期も長かったんですが、彼(マリニン)が相手になるとこのままでは終わってしまうと思って、練習を再開しました」

 だが、焦りはない。自分ができること、そして今やるべきことをしっかり見つめ、そこに集中するだけ。この大会の宇野の落ち着いた表情からは、自分の足下を見つめながら進化しようとする思いが見えた。

 そんな精神面の安定こそが、宇野の新たな一歩を確実なものにする。きちんと勝ちきった今回のスケートカナダは、その期待が明確に見えてくる大会になった。

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