宇野昌磨は「練習につながる試合、試合につながる練習」を意識。優勝したスケートカナダで見えた精神面の安定 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

4回転トーループがいちばんの課題

 前日のショートプログラム(SP)は最終滑走。スケートアメリカから連戦の三浦佳生(17歳、オリエンタルバイオ/目黒日大高)が、94.06点でトップに立った状況での演技だった。ステファン・ランビエルコーチによるこのプログラムの振り付けについて、宇野はこう説明する。

「試合よりエキシビションに寄った感じのプログラムになっているのが僕自身、好きなところ。難しいジャンプは入っているが、表現という面でもステファンコーチが振り付けてくれたものを、すべて体現できるようにしていきたい」

 宇野は落ち着いた雰囲気で滑り出すと、最初の4回転フリップを3.46点加点のきれいなジャンプにした。

 だが、課題にしている4回転トーループは着氷で片手をついてしまい、1回転トーループをつけたが連続ジャンプと認められずに大きく減点される結果に。さらに後半のトリプルアクセルも軸が斜めになり着氷が安定せず、加点を稼げなかった。

 それでも「好きなプログラム」と言うように、続くステップでは音に身を任せるような柔らかく大きな滑りで自分の世界をつくり出した。結果はタイムバイオレーションの減点1があり89.98点と三浦に届かない2位だったが、演技終了後はスッキリした表情をしていた。

「今日の演技は、こっち(カナダ)に来てからジャンプに不安があって失敗も出ましたが、今の自分のいいものでもなく、悪いものでもない、日本でやっていた練習どおりの滑りになりました」

 ひとつのヒントを得る滑りにもなったと、顔をほころばせた。

「4回転トーループとトリプルアクセルは練習では何本もやれば安定してしまうので、それがよくなかったと思います。根本的に100%いい跳び方をしていないので、練習では跳べても試合では失敗することが多くなる。

 だから自分でこれだと思うジャンプを開発して、練習で正しい跳び方をしなければダメだとこの試合で思いました。コンビネーションでも1本目が跳べれば2本目は普通につけられると思うので、4回転トーループの正しい跳び方が一番の課題だと思いました」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る