紀平梨花がケガに苦しむもさすがの演技。復帰戦では「ガックシ」も「焦らず、全日本に焦点」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 坂本 清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

SP、フリーともに難度を下げた構成で臨んだSP、フリーともに難度を下げた構成で臨んだこの記事に関連する写真を見る

全日本選手権出場への強い思い

 そうした状態での出場で、ジャンプは右足に負担のかからないものにするなど構成の難易度を落として臨んだ。最初に提出したSPのプランでは、3回転は2回転トーループを付けた連続ジャンプのサルコウだけで、あとはダブルアクセルと2回転ループだったが、直前で難度を上げた。

「以前、(3回転)ルッツが2回転となり0点になったことがあるので、2回転ループだと0点になってしまうことに気がついて。それでループかトーループの3回転にしようと前日に両方やってみて、負担も少ないのでトーループに決めました。2回転だったらどうせ0点だから、パンクしても転倒してもいいから3回転に挑戦しようと思ってやりました」

 こう話す紀平のジャンプ、3回転サルコウ+2回転トーループは0.43点の加点になったが、ダブルアクセルと3回転トーループは加点0。それでも丁寧な滑りで最後のコンビネーションスピン以外のスピンとステップはレベル4にし、56.69点を獲得。リンクサイドにコーチはいなかったが、紀平は「ひとりでいろいろ考えることができたので、今回に関しては悪い影響もなく乗りきれました」とも話した。

 翌日のフリーは、SP後に3回転は1種類だけにすると話していたように、3回転トーループは跳ばずにサルコウ2本だけの構成とした。SPでは「気合いが入りすぎて空回りした部分があった」と反省し、フリーは最初の3回転サルコウに2回転トーループを付けて連続ジャンプにすると、次はダブルアクセル+2回転トーループと落ち着いて決める滑り出し。GOE(出来ばえ点)は0点台ではあるものの加点ももらった。

 2回転ループを決めたあとに予定していた2回転サルコウからの連続ジャンプをダブルアクセルに変えたが、シングルになって転倒してしまった。その後3回転サルコウはしっかり決めるも、次にダブルアクセルからの3連続ジャンプを狙うとそれがシングルになり、とっさに本数オーバーとなる2回転トーループを付けてしまった。

「練習不足というか、シミュレーション不足というのもあって、(ダブル)アクセルをもう1本いけると思ってやったけど、シングルになったのにビックリして。そのあとのオイラーを付けられないで2回転トーループになってしまって。やばい、これは点数がつかない。全日本に通るかなと思って......。内容としてはすごく悔いが残る滑りだったし、アクセル2本に関してもすごく悔しかったけど、何とか通れたのでうれしかった」

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