【羽生結弦・単独インタビュー】プロ転向は「結果という形がないからこそ怖いところもある」「いろいろなことを勉強し続けなければいけない」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 挑戦し続ける今の自分の姿を見せたいと、練習を公開した羽生。今後の活動については、「会見後からやっと動き始めたので今はめちゃくちゃバタバタしている状態」と言うが、「これをやりたい」「あれをやりたい」というのが少しずつ決まってきている。「年内には形になるめどがつき、その練習も始めている状況です」と話す。

 新たなステージは、「正解」が得点や順位という結果で出たこれまでの世界とは違う。ましてや難度の高い技術を入れていくという点でも、未知の世界に踏み出すということだ。そして、その場では「競技の時よりもさらに一つ段階を上げ、ギアも一つ上げた演技をしていかなければいけない」とも決意するが、その難しさは計り知れないものがある。

「やっぱり難しいなと思えるからこそ楽しいんですよね。もちろんプロになったら失敗できないというのはあるし、結果という形がないからこそ怖いところでもあると思うんです。でもその結果というのは、これから応援していただく方々が、『また見たい』と思ってくださるかどうかが、すべてだと思っているので、それをちゃんと出していかなきゃいけない。難しさはあるけど、それを追求するのがやっぱり羽生結弦なのかなと感じています」

 そのためには過去や常識にとらわれない、新たな想像力もさらに必要になってくる。

「いろいろなことを勉強し続けなければいけない。バレエだったり、ダンスだったり、いろんなことを勉強していって、さらにフィギュアスケートとしての幅を、羽生結弦としての幅を広げていきたいと思います」

 羽生が公開練習を「SharePractice」と名づけたのは理由があった。

「イベントでありつつも、戦い抜く姿を見てほしいというのがテーマとして大きかったので、練習という単語を外したくなかった。それに皆さんと共有してそこで一緒に戦っていけると考えた時、シェアというのが自分らしいかなと思った」

 プロのフィギュアスケーターとして新たな道を切り拓こうとする、羽生結弦の第2ステージはここからスタートする。

(文中敬称略)

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