【羽生結弦・単独インタビュー】プロ転向は「結果という形がないからこそ怖いところもある」「いろいろなことを勉強し続けなければいけない」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「プロのアスリートになる」の真意

 決意表明の場として開いた7月の会見で、羽生のこだわりが感じられたのは、「プロのアスリートになる」という言葉だった。その真意をあらためて問うと、こう答えた。

「皆さんが応援してくださる声のなかに、やっぱり難しいことにチャレンジしていること、本当に失敗を恐れずずっとチャレンジし続ける勇気とか、また絶望から立ち上がるところ......そういうところに対しての応援というのが大きかったなと思いました。もちろん自分のスケートに対しての応援というものもあったとは思いますけど、何かそこもひっくるめて全部大切にしていきたいと思ったんです。だからこそ、プロのアスリート。引退ではなく、もっとうまくなりたい、もっと強くなり続けたいという思いからです」

 プロ宣言後の初めての公の活動となった今回の公開練習を、公式YouTubeチャンネルでライブ配信したのにもプロとしての思いがあった。

「自分がこれからプロとして活動していくにあたり、練習の光景や4回転アクセルに挑戦していくところを見せる機会はなかなかないなと思っていて。それでも自分の練習を見たいと思ってくださる方もいますし、そのなかで自分のアスリートらしさというか、根本的にある『さらに追求し続ける姿』みたいなものを、見ていただける機会になればいいなと思い、練習を公開するイベントをつくってみました」

公開練習で平昌五輪の"リベンジ"

 ライブ配信のため、使用曲の版権の問題もあり限られたプログラムになったが、『天と地と』や『ホープ&レガシー』も演じた今回、目標にしたのは2018年平昌五輪で優勝した時のフリー『SEIMEI』を、当時演じようとした構成でノーミスの滑りをすることだった。羽生はこう説明した。

「やはり平昌五輪の『SEIMEI』のイメージが強いと思いますが、あの時はノーミスをしきれたわけではなかった。もちろんリカバリーとかがうまくいったと思う点はありましたけど、あの時に本来したかった演技というのは、足首の状態もあって全部はできなかった。あの時はそこまで確率は上がっていたわけではないので。今の自分はあれから成長しているところを見せたかったというのが、一番強かったと思います」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る