坂本花織の躍進に振付師との出会い。個性、感性を引き出すプログラムで国際的にも高い評価

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【国際的にも高評価のプログラム】

「先週、ブノワ先生とリモートで(プログラムを)ブラッシュアップして、細かい部分をいっぱい修正して、ちょっとでも5コンポーネンツが上がるように手直しをしてもらった。SPの前には『今日は花織がやるべきことをしっかりわかっているから、集中してやるだけだよ』とメッセージをもらいました」

 坂本がシニアデビューした平昌五輪シーズンに躍進できたひとつの要因は、このリショー氏との出会いにあったと言っても過言ではない。坂本が持つ個性と感性、得意とする部分を存分に引き出し、課題にする部分を振り付けで補いながら、ステップアップさせるためにあえて実力よりも一歩先の難易度のプログラムを振り付けてきた。

 たとえば、SPで基礎点が1.1倍になるプログラム後半に3回転の連続ジャンプを跳ぶことは体力的にはきつい演技構成だが、いまでは坂本にとっては「譲れないこと」だと胸を張る。

「SPでの後半の3+3は自分にとっては欠かせないことなので、そこは前半で3+3をやる考えはまったくなくて、攻めの気持ちでいくだけだなと思ってやっています」

 坂本とリショー氏がタッグを組んで作り上げたプログラムは、国際ジャッジからも高く評価され、見る側にもインパクトを与えて魅了し、坂本の代名詞となる作品になっている。SP『グラディエーター』も、音楽にマッチしている坂本のスピード感あふれるスケーティングを存分にアピールするプログラムになっていて、大きく躍動する動きと力強さ、そして疾走感は見ていて気持ちがいいほどだ。

 演技後は、やり切ったという笑顔が広がり、キスアンドクライでは得点が出た瞬間、両腕を頭の上でぐるぐる回して大喜びをした。

「この試合の1週間前からすごく緊張していて、NHK杯以上に緊張を感じていたんですけど、この会場に入ると、『あっ、試合だな』と気持ちが入って、試合にあまり支障がないほどの緊張になっていた。6分間練習前には更衣室で(樋口)新葉と談笑して、お互いの緊張をほぐし合ったのがいい感じになったかな」

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