河辺愛菜が全日本フィギュアのSPで見せたトリプルアクセルだけではない改善。「自分は挑戦するしかない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本選手権SPでトリプルアクセルを決めた河辺愛菜全日本選手権SPでトリプルアクセルを決めた河辺愛菜この記事に関連する写真を見る「(全日本選手権に向けては)ショートもフリーも(トリプルアクセルは)一本ずつ、入れていこうと思っています。自分は挑戦するしかないと思っているので」

 河辺愛菜(17歳、木下アカデミー)は甘い声で、強い意志を示していた。来年2月の北京五輪出場に向け、逆転で滑り込むにはトリプルアクセルにかけるしかない。演技を深めてきた年上の選手たちと対等以上に戦うには、大技が不可欠だった。

【唯一のトリプルアクセル成功】

 そして全日本選手権のショートプログラム(SP)、河辺は女子シングルで出場選手中唯一、トリプルアクセルを成功させている。

「今シーズンは練習からアクセルを跳ぶ回数が増えたので、自信になっていると思います」

 そう語る河辺は、試合でも高難度のトリプルアクセルにひるまず取り組んできた。「中に入らないように」や「踏み切りのタイミングを早く」など微調整を重ね、成功率は着実に上がった。10月の近畿選手権でSPでは初めてトリプルアクセルを着氷し、「今シーズンは(トリプルアクセルを)挑戦していきたいと思っていて、たとえ調子が悪かったとしても入れたいと、練習してきました」と不退転の決意だった。そして11月のNHK杯のSPでも、みごとに着氷していた。

 それだけに、今回の成功もフロックではない。

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