本田真凜、シニアデビュー後の挫折で得た「スケーターとしての厚み」 (5ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

「(違う曲になったフリーは)ポーズを取った時、やるしかないって」

 本田はそう振り返った。

「(肩のケガは)むしろ、(吹っ切れたという点で)良かったかもしれません。ジャンプはダブルしかやらない予定でしたが、朝の練習でトリプルも跳べていたので(入れました)。でも、スピン、ジャンプはコースもタイミングも、考える余裕はなくて。ビールマンもやらないつもりでしたし、(2回転トーループを4回と)ジャンプは跳び過ぎて」

 しかし前半、3回転トーループから4つのジャンプを鮮やかに決めるなど93.66点を叩き出し、5位に入った。総合でも、140.95点で7位。東日本選手権に勝ち進んだ。

「(次に向けては)間違った曲を出さない。それにケガを直します」

 本田は自戒と茶目っ気を混ぜて言った。一つ一つの戦いが、血肉になっているのだろう。好むと好まざるにかかわらず、彼女の滑りは劇場性を伴う。

 11月5日、山梨県の小瀬スポーツ公園アイスアリーナ。東日本選手権で、本田は新たなドラマを生む。

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