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羽生結弦、スケートカナダ初勝利へ調整。「一つひとつ噛みしめる」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「一つひとつのステップを踏みながら。まずは最初の4回転サルコウであったり、そのあとのスケーティングであったり、トリプルアクセルの入りであったりと......。段階を踏んで、きれいなジャンプを跳べたらいいなという風に思ったうえでの、ノーミスを目指したい気持ちです」

 そんな気持ちになれたのは1週間ほど前。グランプリ(GP)シリーズ初戦のスケートアメリカの、ネイサン・チェン(アメリカ)の演技を見てからだった。彼がミスをしていたこともあるが、「まだ全開ではないと感じた」と言う。

 また、「自分はやっぱり彼のようなタイプではないし、もちろん彼にはない武器も持っている。だからこそやっぱり、自分の演技をしなければいけないと改めて感じた。これまでは現実のチェンではなく、自分が幻想化した彼と戦っていたのではないか」とも語った。

 そう考えることで、4回転ルッツを入れなくてはと焦ったり、ジャンプ構成のレベルを上げなくてはいけないという気持ちも少し和らいだ。「それでちょっと落ち着けているのかなと思います」と、羽生は穏やかな笑みを浮かべた。

 公式練習で羽生は、4回転ループに苦戦する姿も見せていた。見た感じでは氷も少し軟らかそうで、エッジ系のジャンプは難しそうなコンディションだった。それでも今回は、トー系のジャンプでもある4回転ルッツには挑戦しないと明言した。

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