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髙橋大輔の芯が見えたアイスダンス挑戦。
たどり着いた一つの境地 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 かつてマイナー競技だったフィギュアスケート男子を、髙橋は人気競技に定着させている。2010年バンクーバー五輪の銅メダルや同年の世界選手権優勝など記録はすばらしいが、それ以上に、ファンを獲得し、普及させた功績は大きい。そして昨年は4年ぶりの現役復帰を果たすと、全日本選手権で2位になって、再び限界を突破する姿を示した。

「アイスダンスを、もっと知りたいと思いました。スケートの広がりが感じられるはずで」

 髙橋は転向の理由をそう説明した。

「今の自分は、(スケートに関して)"競技者か""プロか"、その境をなくしています。どっちか、というのはありません。もちろんオリンピックに出るには、形としては競技者になりますし、勝たないと注目してもらえない、とも思っていますが」

 スケートを追求する中、一つの答えだった。昨年8月、村元は平昌五輪で日本勢最高タイの15位になったクリス・リードとのカップルを解消。タイミングも合ったのだろう。

「自分の人生を振り返ると、決断した、というのはあまりない。導かれるようなところがあって。とにかく、スケートを滑り続けたい」

 髙橋は言うが、そこに彼の芯がある。

 シングルからアイスダンスへの転向で、課題となる点は山ほどあるだろう。そもそも、スケート靴が違う。リフトという一方を持ち上げる技術・筋力も欠かせない。また、至近距離で滑ることになり、お互いの癖を理解し、調和するのは至難の業だ。

「(課題は)ほとんど全部」

 髙橋はそう言って笑みを浮かべた。無邪気さが滲む。難関も含め、心からスケートを楽しめるのだ。

 カップルを組んだ村元が、その決め手となった言葉をこう語っている。

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