挽回して5位の本田真凜。コーチが諭す「シニアで戦う心構え」はあるか (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「スピンは丁寧にやっていましたが、トランジションは省いているところもあって、振付師に悪いなと思うくらいでした。本来はもう少しメリハリのあるプログラムですが、それを自分流にし過ぎている部分があった。芝居でもそうですが、役者が自己満足で陶酔し過ぎてしまうと、なかなか相手(観客)に伝わらなくなる。振付師の意図を十分に汲んだうえで、自分流の滑りに合わせていく必要があると思います。その点で、この大会の評価は40点。演技内容だけではなく、ここまでくる過程として、まだシニアで戦うような練習ができていない。シニアで戦うためには、努力でしか積み上げられない、底上げが最も大事になる」(濱田コーチ)

 本田はこのあと、中国杯に向けてカナダから直接北京入りする。3日間は治療に専念するため練習はオフにして、水曜日午後か木曜日の公式練習から氷上にあがる予定だ。その間にどこまで気持ちを切り換えられるかが、次戦へのカギになるだろう。

 昨季の世界ジュニアで201.61点を獲得したように、本田が大きなポテンシャルを持っているのは間違いない。出だしでミスをしないでうまくハマれば、一気にトップ争いに食い込む力を持っている。スコア的にもSPで70点弱を獲得できる可能性は高く、フリーで気持ちの乗った滑りになれば、今回は1.00点が最高で他はすべて0点台だったジャンプのGOE(出来映え)の加点もつくだろう。

 また、5項目すべてが7点台で計60.91点だった演技構成点についても、USインターナショナルクラシックではトランジションは7.85点、他の4項目が8点台だったことを考えれば、まだまだ伸ばせる。合計で200点以上を出せる確率は高いといえる。

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