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西山秀二が語るセ・リーグの捕手事情 「これから甲斐拓也の真価が問われる」「坂本誠志郎はいやらしさが必要」

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

西山秀二インタビュー(前編)

 今季、ソフトバンクから巨人に移籍した甲斐拓也。パ・リーグ優勝チームからセ・リーグ優勝チームへの移籍ということで、相当なプレッシャーもあっただろうが、ここまでは攻守で存在感を放っている。そんな甲斐の活躍を、現役時代に古田敦也、谷繁元信らとしのぎを削り、2度のベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝いた西山秀二に分析してもらった。同時にセ・リーグの捕手事情についても語ってもらった。

今季から巨人でプレーする甲斐拓也 photo by Koike Yoshihiro今季から巨人でプレーする甲斐拓也 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【打っている捕手は外されない】

── 巨人の捕手はリード面など注目を集め、プレッシャーも大きいと思います。西山さんも広島から巨人へ移籍されましたが、どうでしたか。

西山 私は「巨人の捕手だから」という特別な意識はなかったですね。ただ、甲斐の場合はFAでソフトバンクを離れ、5年総額15億円とも言われる大型契約で移籍したわけで、注目度やプレッシャーは相当あったと思います。過去にも巨人にFA移籍して活躍できなかった例はありますから。活躍しないと、「ほら見たことか」と言われることへのプレッシャーもあったと思います。

── 甲斐選手はソフトバンク時代、打順はおもに8番で打率2割そこそこのシーズンが多かった印象です。

西山 でも今季は、2番、5番、6番と上位で起用されて、結果も出している。いい緊張感のなかでプレーできているんでしょうね。私も移籍1年目はそうでしたし、まだ相手チームは「打者・甲斐」の弱点をつかみきれていない面もあると思います。

── 巨人には甲斐選手をはじめ、大城卓三選手、小林誠司選手と日本代表経験のある捕手が3人いて、さらに岸田行倫選手もいます。

西山 岸田は粘り強いリードと高い盗塁阻止率(昨季.475)で成長してきて、大城は3年連続2ケタ本塁打(2021〜23年)という打撃力がある。また小林はかつて4年連続盗塁阻止率1位(16〜19年)の実績があります。捕手が複数いるのは、チームにとって心強い。阿部監督は「競争して勝ち抜いた選手が出ればいい」という考えだと思います。そんななか、開幕から甲斐のバッティングの状態がよく、使わない理由がないですよね。

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