西山秀二が語るセ・リーグの捕手事情 「これから甲斐拓也の真価が問われる」「坂本誠志郎はいやらしさが必要」 (2ページ目)
── 西山さんも1996年に打率.314の好成績を挙げられました。
西山 そうなんです。打っている捕手はやっぱり外されませんよ。5月10日の時点で、セ・リーグで規定打席に到達している捕手は甲斐だけです。これはうれしい誤算でしょうね。
── 山﨑伊織投手が開幕から36イニング連続無失点のセ・リーグ記録を更新し、井上温大投手は4月22日の中日戦で1試合14奪三振。甲斐選手のリード面での評価は?
西山 「甲斐のリードはどうなの?」ってよく聞かれますが、開幕してから1カ月くらいは変化球を多く使っている印象でした。まだ投手の特徴や好みを把握しきれておらず、手探りの状態だったのでしょう。
── サインに首を振る投手もいたようです。
西山 甲斐はゴールデングラブ7度、ベストナイン3度の実績があるとはいえ、巨人では1年目です。なかには、投げたいボールを主張する投手もいるでしょう。ただ、甲斐は打撃でも結果を出し、投手の信頼を得てきた。4月後半以降、先発ローテーション3巡目あたりからはストレートの割合が増えました。
── それはストレートで押す"パ・リーグ的なリード"ということですか?
西山 いえ、ストレートで押すことで、変化球が生きるという王道的なリードにシフトしてきたということです。これから甲斐の真価が問われると思います。ただ、走塁阻止率は落ちてきているので、そこは今後の課題になるでしょう。
【捕手は相手に嫌われてナンボ】
── 昨年日本一のDeNAは今シーズン、山本祐大選手、戸柱恭孝選手、松尾汐恩選手がマスクを被っています。
西山 昨年、山本は攻守に飛躍しました。今季もその流れで起用されましたが、打てなくなると交代させれられています。それがプロの世界です。
── 今季は松尾選手の起用が増えています。
西山 戸柱はベテランの抑え捕手。となると、打撃に期待の松尾を実戦で育てようという意図があるのでしょう。最近は150キロ超の速球に頼る捕手が増えましたが、松尾には「初球は変化球で様子を見る」など、リードのセオリーを学んでほしいですね。
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