羽生結弦語録。フィギュア世界選手権で語っていた本心とは? (4ページ目)
これまでも、数々の逆境に負けずに立ち向かってきた羽生。その原動力になっているのは、前向きでポジティブな思考回路と性格が影響しているからだろう。
「マイナスの要素というのは、決してずっとずっとそのままマイナスなわけじゃない。いまの状態から見たらマイナスだけれども、昔の、それこそ4回転が跳べない時にこのような状況だったら喜んでいると思うんです。4回転は回った、と。だから、いまはマイナスと考えるけれども、マイナスと考えられるということは自分が成長してきたという証だと思います。または、そのマイナスがあるからこそ、次はマイナスとマイナスを掛け算してプラスに。そういう風に課題が見つかったからこそ、自分は成長していけるのかなと思っています。
今大会で弱さが出たとしたら、環境に左右されているなという感覚がありました。リンクであったり、空気感であったり、ライバルたちであったり。そこにあまりにも影響されすぎる自分がいました。自分の中で褒めてあげたいと思う点は、よくここまで自分を奮い立たせてこうやって頑張ってこられたなと。すべてのマイナス要素をマイナスだけで考えないで、それを常にプラスに考えて、こういうことがあったから、じゃあ次はこうしたらいいなということを考え続けてここまでこられた」
■「僕は本当に恵まれている」
世界選手権を銀メダルで終えた羽生は、一夜明けて穏やかな表情で訥々(とつとつ)と今季を振り返りながら語った。五輪王者として知らぬ間に抱えていた重石が、すっきりと取り除かれたような感じだった。
「中国杯で衝突事故が起きて、フリーに出て大会が終わった後、アドレナリンがなくなって、興奮状態から冷めて......。10日ほど経ってから初めてリンクに上ったときがいちばん、『これはもう駄目かも』と思いました。ただ、中国杯で滑って、ああいう(総合2位)結果をいただいたからこそ、僕はあきらめないでファイナルに行きたいんだと思えましたし、あそこでフリーの順位が悪かったら、たぶん今シーズンは何もできないでひきずって、シーズンを棒に振っていたと思います。
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