樋口新葉、宇野昌磨...新世代スケーターが台頭する理由

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha  能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 2018年平昌五輪に向けて本格始動のシーズンとなったフィギュアスケート14~15シーズンが幕を閉じた。ソチ五輪世代のトップスケーターが引退や休養に入る中、平昌五輪で活躍が期待される新世代の若手スケーターたちが台頭。いま10代の選手たちはこの数年でどんな成長を遂げるのか。光りを放ち始めた有望株たちの魅力と今後の課題を、元国際審判員で解説者の杉田秀男氏に聞いた。

世界ジュニアで3位になった樋口新葉世界ジュニアで3位になった樋口新葉 杉田氏は開口一番、現在のジャッジングシステムの下では、若手もベテランも「技術やプログラムの出来などのレベルにおいてはもはや差がない」と語る。

「年々技術面はレベルアップしていますけれど、今シーズンを見ると、ジュニアとシニアの境がどんどんなくなってきているなという感じがしました。これまでもジュニアの選手は、ジャンプとかスピンとか、ひとつひとつのエレメンツに関してはシニアと変わらないぐらいうまくなってきていたんです。ただプログラム全体の構成とか、スケーティングの質の面とか、様々な完成度という点でかなり差がありました。その差がどんどんなくなってきた感じがします」

 特にジュニアのレベルが上がったのが女子。ソチ五輪に向けた積極的な強化策を敷いたフィギュア王国ロシア勢の若手台頭が契機になったという。ジャンプやスピンなどのエレメンツについては、徹底した練習でほとんどの選手が基本を忠実にこなす。その上で、バレエの国としての伝統もあり、芸術的な表現面でも高い水準をジュニアレベルですでに身につけている。しかも選手層が厚く、国内でライバルたちと代表のイス取り争いにしのぎを削らなければならない環境の中で切磋琢磨してきた。

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