樋口新葉、宇野昌磨...新世代スケーターが台頭する理由 (2ページ目)
その代表的な選手が、ソチ五輪団体でロシアの金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤだろう。15歳ながら抜群の表現力とプログラムの完成度の高さはシニア勢を震え上がらせるものだった。そしてそんな質の高いロシアの若手の台頭に、刺激を受けた日本や北米のジュニア選手たちが出てきた。
「ロシア以外の各国の若手選手たちは、これまで通りやるだけでは上へ行けないとすごく感じたと思うんです。それは選手だけじゃなくて指導者側も、です。コーチや連盟の役員が、そういうことに関して意識を非常に高く持つようになった。それが結果的に日本の女子ジュニアのレベルを上げた原因だと思いますね。そのジュニアがシニアの中に入ってくる。極端に言うとノービス(ジュニアの下のカテゴリー)からもうジャンプアップしてくるような子が出てきているわけです」
ただ、女子は成長期の10代後半にさしかかると身体的に大きく変化し、それが競技者としての活動にマイナスに働くことが出てくる。前述したリプニツカヤは2シーズン前に14歳で鮮烈なシニアデビューしながら、今季は精彩を欠く演技でロシアの国内選手権で9位に沈み、世界選手権などの代表にも選ばれなかった。ジュニアからシニアに上がった後も、うまく順応した浅田真央やキム・ヨナは例外中の例外なのだ。
今季、ついに全日本女王になり、世界選手権でも銀メダルに輝いた宮原知子は17歳。子どもから大人に成長するこの1、2年が、いろいろな意味で勝負のシーズンになるに違いない。まだ、ジュニアながらシニア顔負けのスピードとジャンプで活躍する14歳の樋口新葉をはじめ、有望なジュニア勢が猛スピードでその背中を追いかけてきている。
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