【ボクシング】「ベストファイター」井上尚弥に勝つために LAキャンプで、コーチが中谷潤人に授ける"妙技" (2ページ目)
中谷は語る。
「純粋にうれしいですが、応援される立場になると、いろんな人の思いを感じます。職業としてボクシングができている環境は、当たり前じゃないんだと認識しますね。だからこそ、エネルギーをもらえるというか。今、この場にいる自分はさまざまな人に支えられてきたのだから、感謝しないとなっていう思考になります。結果を出して、いい波動を与えたいですね」
慣れ親しんだLAの街。このところ、中谷が起床する午前8時の気温は16度くらいだが、正午には30度を超える。そんな街で時折、鈴の音を鳴らしながらアイスクリームを売る小さな車が通る。中谷はその姿にノスタルジーを覚える。
「15歳の頃、ジムで練習してルディの家に帰ってきて、ちょっとくつろいでいると、アイスバーを売る車がやってきました。ソファやベッドで横になっていると、音が聞こえてきたんです。目にすると懐かしいですね。買ったことはないんですが、音が昔と変わらないなって。ロスっぽいというか、あの頃の自分も頑張っていたよなと」
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【トレーニングで「違う自分」が出てくる喜び】
ルディの言葉どおり、中谷は手を抜いたり、サボろう、あるいは楽をしようと考える男ではない。彼はボクシングに己を捧げ、とことん自分を搾り尽くせるタイプだ。無論、言い訳を探す人間でもない。だからこそ、このポジションまで上ってきた。
モンスター戦に向けた今回のキャンプでも、ルディはこれまでと同じように月、水、金、土にスパーリングを組み、火、木は全力シャドーボクシングのメニューを与えている。3月24日のトレーニングからは、16キロの重りが入ったベストの着用を命じた。そして2日後は、7分間の自転車漕ぎも取り入れた。20秒間、思いきりペダルを踏み、心肺機能を高める。そして20秒休み、また漕ぐ。
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中谷は自身を追い込みながらも、楽しんでいた。大一番への重圧はなく、モンスターと拳を合わせられることが楽しみで仕方ない、という感情が伝わってくる。
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