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【密着取材】中谷潤人がLAキャンプを終了 井上尚弥が待つスーパーバンタム級での初戦に向け、カルデナスと99ラウンドのスパー (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【井上尚弥戦に向け、「チャレンジャーのほうが成長できる」】

 スパーリング終了後、中谷がサンドバッグで自分を追い込む真横で、カルデナスも次戦で白星を挙げられるようにと、同じように汗を流す。

サンドバッグを叩く中谷。後ろはトレーナーのルディサンドバッグを叩く中谷。後ろはトレーナーのルディこの記事に関連する写真を見る

 中谷は語った。

「いろんな国籍の人が、高い志を持ってこのジムで練習している。それぞれの思いが詰まった空間ならではの活気があります。向上心を持っている姿を目にすることで、僕自身も刺激を受けます。『本当にいい場所だな』と毎回思いますね。

 世界の舞台で闘う選手が集まるというだけでなく、誰もが明確な目的を持っている。ハートのある選手たちと同じところにいられるよさがあります」

 アメリカのリングはそれほど明確に定めていないが、日本での試合はチャンピオンが赤コーナーに、チャレンジャーは青コーナーに割り振られる。タイトルマッチでない場合も、ランキング上位者が赤、下位は青が基本だ。12月27日をクリアした中谷は2026年5月、井上尚弥戦で挑戦者として青コーナーのタラップを上がる。ノックアウツ・ボクシングジムでと同じように。

「僕の場合は、チャレンジャーのほうが成長できるように感じます。自分を鼓舞できる環境ですから。己に対する挑戦という意味でも、追う立場のほうがいいですね。常に自分自身に挑んできた人生ですし、何者かになれるよう目標を追いかけてきました。世界チャンピオンになって、赤コーナーで闘っていても、『まだまだ、ここがゴールじゃない。もっと上を』と思ってきました。

 27日は、スーパーバンタム級初戦なので、可能性とより広い展望を感じてもらえるような、見る人を興奮させられるような試合にしたいです」

 中谷潤人が目指す嶺とは、複数の世界タイトルをコレクションすることでも、井上尚弥を倒すことでもなく、日々、自己を超えることだ。その闘いが続いていく。

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著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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