【密着取材】中谷潤人がLAキャンプを終了 井上尚弥が待つスーパーバンタム級での初戦に向け、カルデナスと99ラウンドのスパー (3ページ目)
【合計99ラウンドのスパーリングの手応え】
中谷とカルデナスの最後のスパーリングが始まった。通常、ファーストラウンドの中谷は相手の出方をうかがい、パートナーが嫌がる動きを探っていく。しかし、この日はアグレッシブに手を出した。上にジャブ、下にストレートを放ち、間髪を入れずにバックステップで間合いをとると、ワンツーのダブルを顔面に見舞う。
スパーリング中の中谷(右)とカルデナスこの記事に関連する写真を見る
身長、リーチで劣るカルデナスは、接近しなければ自分のパンチが届かない。中谷の前足を踏み、クロスレンジで打ち合おうとするのだが、フットワークでいなされてしまう。コーナーのロブレスからは「フェイント! フェイント!!」と声が飛ぶ。
カルデナスは再三、ボディへのストレートを喰らった。それでも、最も得意とする左フックをフェイントに、右ストレート、という攻撃や、細かい動きを増やして距離を詰める場面があった。躱されたものの、中谷のジャブに合わせて左フックを放ったシーンも狙いはよかった。左フック、右ストレート2回の連打にも、創意が見られた。
WBAの指名挑戦権を持つ1位の中谷と2位のカルデナスは、9ラウンドのスパーリングを終えると笑顔で健闘を讃え合った。
中谷はカルデナスとの計99ラウンドを振り返った。
「タイミングの取り方が巧みで、目がよく、状況に応じた適応力が高いです。やるべきことを瞬時にピックアップできる選手ですね。ガードも高いし、パンチを受けるだけじゃなく、しっかり見て、どう闘うかを考えています。お互いに、とことん駆け引きをし合うスパーリングとなりました。ひと筋縄ではいかない相手で、充実したキャンプでした。
カルデナスがさまざまな仕掛けをしてきましたから、自分の距離のキープ力が強化されたように感じます。成長に向けて積み重ねられた、やりきったぞという気持ちです」
充実した練習を行なった中谷(左)とカルデナスこの記事に関連する写真を見る
中谷を15歳の頃から指導するルディ・エルナンデスも言った。
「いいキャンプだった。右手、左手の使い方、前後の動き、ロープ際、そして相手がジュントの頭を抱えたり、肘打ちをしたり、ローブローを放ってきたりといった反則への対応など、すべてのレベルアップが狙いだった。カルデナスは非常にいいパートナーだったね。ほかにも背の高い選手、スイッチする選手などとのスパーリングを組んだ。本番のリングでどんな問題が生じても、動じずに我々の闘いをするためだ」
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