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武藤敬司が社長・棚橋弘至に送るエール 「100年にひとりの逸材をつくらねぇと。今の時代、AIに聞けば教えてくれるよ(笑)」 (3ページ目)

  • 井上崇宏●取材・文
  • 市川光治(光スタジオ)●構成

── 棚橋選手は、引退後のプロレスラーの第二の人生を保障するシステムを確立したいと言っています。

武藤 いやぁ、社長はそこまで考えねえほうがいいんだよ。プロレス団体を経営していくならどんどん切り捨てていったほうがいい。そういう商売なんだから。そのかわり現役中はちゃんと保障するとかさ、そっちを考えたほうがいいよ。人それぞれ思い描いてることって違うわけであってさ。WWEだってそんなのは保障しねえよ。

── 引退後も食えているっていう武藤さんはある意味で特殊なタイプですよね。

武藤 いやいや、明日食うに困るかもわかんねえけど、少しくらいは老後を幸せに暮らしている先輩方がいてもいいじゃん。たださ、長州さんもオレも経営に関わってた時が一番苦しかったじゃん。今は経営というものから離れたフリーとなってせいせいしてるっていうか、長州さんとかオレは本当にのんびり過ごしてるよ。

 猪木さんだって坂口さんだってすげえ苦労したしさぁ。藤波(辰爾)さんはそんなでもなさそうだけど(笑)。ただ唯一、オレも長州さんも蝶野(正洋)も抱えてるのは、身体の故障だよ。プロレスに情熱を持ってやりすぎた。それはタナも一緒だろうけどな。

【社長・棚橋弘至に求められるもの】

── プロレスは長く続ければ続けるほど体が壊れていく。

武藤 でも、しょうがなくもないと思うんだよ。試合数を減らしたり、休みをバーンと与えて時間に余裕があったりしたら、意外とずっと壊れずにいけるかもしれない。たとえ壊れたとしてもすぐに休みを入れて治療に専念するとかさ。野球の大リーグとかはそうだと思うし、たぶん大リーグも昔は酷使してたから変わったのかもしれないよね。

── 武藤さんは全日本プロレスの代表取締役を務めた時期がありましたけど、振り返ってみて経営に関わる必要があったと思いますか?

武藤 めちゃくちゃ苦しかったけど、結局さ、なんだかんだ結果的に生き残ったから、経験としてやっておいてよかったと思うよ。やったから多くの選手が育ったし、オレの人間としての、レスラーとしての厚みもここまでできてないよ。

 結果論だけど。まあ、タナは立命館大学を出てるし、頭がいいからちゃんと努力することを知ってるし、勉強できるからオレとか長州さんとは違うよ。あいつ、いくつ?

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