【女子プロレス】アイドル、大食い、そしてプロレスの世界へ 上原わかなが「負けたくない」執念でつかんだ輝く場所 (4ページ目)
そんな折に巡ってきたのが、2022年5月から始まった『夢プロレス-dream on the ring-』だった。当初、上原の夢はあくまで「食にまつわる仕事を増やすこと」。プロレスラーになろうとは微塵も考えていなかった。芸能界での飛躍を目指して挑戦した企画にすぎなかったのだ。
しかし、物語は思わぬ方向へ転がっていく。単独首位を走って迎えた10月14日、新宿FACEでの最終審査。東京女子プロレスの選手とのエキシビションマッチに臨み、憧れの中島翔子と対戦するも、結果は2位。総合では同率1位だったが、上原は泣き崩れた。
「(最終審査で1位になった)凛咲子さんの試合は本当に面白かったので、納得できる部分はありました。でも『もっとできるって期待しているからこの点数』と言われたのが、どうしても悔しくて。そこは平等に評価してほしかったんです」
だが、この「2位」が決定打となった。負けず嫌いに火がついた上原は、同年11月27日の東京女子プロレス後楽園ホール大会に姿を現し、本格参戦を表明する。もし最終審査で1位を獲っていたら、プロレスを続けていなかったかもしれない。「そう考えると、2位でよかったのかも」と笑う。
最終審査に敗れたその悔し涙は、上原わかなをリングへと突き動かした。不器用でも、努力を積み重ねて駆け上がる3年間が、ここから始まる。
(後編:上原わかなはアンチからの脅迫も受け止めて リングで誰かに響く「生き様」見せる>>)
【プロフィール】
◆上原わかな(うえはら・わかな)
1996年5月13日、神奈川県海老名市生まれ。幼少期から水泳やチアリーディングに打ち込み、高校時代にはチアで全国3位を経験。2018年にアイドルユニット「Advance Arc Harmony」でメジャーデビュー。得意の大食いを武器に『有吉ゼミ』などに出演し、注目を集める。2022年、YouTube企画『夢プロレス-dream on the ring-』に挑戦し、総合1位を獲得したことをきっかけにプロレスラーを志す。2023年1月4日、東京女子プロレス後楽園ホール大会でデビュー。2023年「ねくじぇねトーナメント」優勝。2025年には上福ゆきとのタッグ「OberEats」を結成し、プリンセスタッグ王座に挑戦するなど飛躍を続けている。163cm、48kg。X:@wakana_uehara
【大会情報】
■WRESTLE PRINCESS Ⅵ
■日時:2025年9月20日(土) 開場 13:00 開始 14:00
■会場:東京・大田区総合体育館
■対戦カード:
○プリンセスタッグ選手権試合 30分1本勝負
<王者組>中島翔子&ハイパーミサヲ vs 上福ゆき&上原わかな<挑戦者組>
○プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合 30分1本勝負
<王者>瑞希 vs 渡辺未詩<挑戦者>
著者プロフィール
尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)
1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。
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