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【女子プロレス】21歳になった元「中学生レスラー」愛海が語る葛藤と今後「自分も仙女を引っ張っていく力になりたい」 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

【仙女を"世界の団体"にしたい】

 里村の引退試合を終えて、愛海の意識は変わったという。これまで「シングルのベルトを巻きたい」と繰り返してきたが、その先を考えるようになった。

 2017年4月、プレデビュー戦で引き分けたスターダムの琉悪夏と、タイトルを懸けて闘いたい。さらに、以前から名を挙げているGLEATのエル・リンダマンとも、ベルトを巻いた上で闘いたい。そうすれば仙女の価値が高まるはずだ、と。

 男子レスラーの名前が出たことに、私は少し驚いた。「先輩たちの影響もあります」と愛海は言う。

「昔は、女子と男子が闘うって当然じゃなかったわけじゃないですか。それを"アリ"にしたのは、里村さんだったり橋本さんだったり、仙女なのかなと自分は思っています」

 彼女の口調は淡々としていたが、その言葉には仙女の歴史を背負う意識がにじんでいた。男子と闘うことをためらわない感覚は、すでに彼女の世代の"当たり前"になっているのかもしれない。

 シングルのベルトも大事だが、その前に課題がある。愛海はまだ、仙女生え抜きの先輩から一勝も挙げていない。DASH・チサコ、橋本千紘、岩田美香――。いずれも仙女を支えてきた強敵であり、彼女たちを越えなければベルトには届かない。

「今の自分に足りないのは、経験かなと思っています。日本でしか試合をしたことがないので、海外でも経験を積んで、仙女を大きくしたい。仙台から世界へ行きたい。大きな夢なんですけど、自分は仙女を"世界の団体"にしたいんです」

 そう言ったとき、彼女の表情はわずかに明るくなった。淡々とした口調ながら、言葉の熱がぐっと前に出てくる。

 第1、第2試合ばかりで悔しいのではないか――そう思い込んでいた私の想像は、あっけなく裏切られた。彼女は足元ではなく、はるか先を見ていた。仙台という地方都市から世界を見据えるその視線に、私は胸を突かれた。

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