井上尚弥も中谷潤人も「知らない」 かつてデラホーヤと戦い敗れ去った元世界王者の今 (4ページ目)
【井上尚弥、中谷潤人の名も「聞いたことがない」】
46歳となったバルガスは、自分らしく生きていた。ジムの入り口に座る妻とは、31年寄り添っており、関係は良好そうだ。
そのバルガスに井上尚弥の印象を訊いた時の答えが、冒頭のひと言だった。
知らない――。
かつて、自身が狙っていたパウンド・フォー・パウンド1位の座に就いたこともあるジャパニーズファイターの名を聞いたことがない、と話したのだ。さらに、そのWBA/WBC/IBF/WBO統一スーパーバンタム級チャンピオンとの対戦が話題になり始めたWBCバンタム級チャンピオン、中谷潤人に関しても同じ回答だった。
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バルガスは、言葉をつなげた。
「(井上と中谷が)対戦するなら東京ドームじゃなくて、こっちの大きな会場でやったほうが注目されるだろう」
言い得て妙だ。軽量級ながら世界的スターになったフィリピンの英雄、マニー・パッキャオも、アメリカの地でマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレスといったライバルたちと激闘を重ねたことで上り詰めた。日本ボクシング界から誕生したトップ同士のファイトも、ボクシンングの本場開催こそが相応しい。
後日、バルガスの発言を中谷潤人にぶつけてみた。
「そうですね。もともと、僕はアメリカを主戦場とすることを希望しています。昨年5月のアンドリュー・モロニー戦は、ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナでやらせてもらいましたが、ファンの目が肥えていることを実感しました。反応がいいんですよね。パンチが当たった時、物すごく湧き、大歓声が耳に入ってきて、こちらが楽しくなるほどでした。
それプラス、僕には『日本のファンだけでなく、世界中の方々に自分のボクシングを見せたい』という思いがあります。ここ最近、ラスベガスでビッグマッチが開催されているT‐Mobileアリーナで、いつかメインイベンターとしてリングに上がりたいですね」
バルガスのひと言は、中谷に新たな刺激を与えたようだ。10月14日の有明アリーナでの防衛戦で、さらなる飛躍を期待したい。
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