「世界のTK」髙阪剛が語る、日本の総合格闘技が世界と「競り合える日は近い」と考える理由 (4ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by Getty Images

【新しい環境で自身を磨く、牛久vs萩原の展望は?】

――練習環境を変えるという意味では、アメリカントップチーム(ATT)に移籍した牛久絢太郎選手と、萩原京平選手(SMOKER GYM)が『RIZIN.44』(9月24日・さいたまスーパーアリーナ)で対戦します。

「牛久選手は、クレベル、未来選手に連敗していて、一方の萩原選手は前回カイル・アグォンに勝った。正直、MMAは牛久選手のほうが技術もフィジカルもしっかりしていますが、たまに一点張りになっちゃうところもある。それに対して萩原選手は余計なことをせず、必要なことをしっかりやろうという感じ。勝つための最短のルートを、最近の試合で捉えた感じがしますね。

 牛久選手が主導権を握ってコントロールしたら、萩原選手は厳しいと思う。ただ、牛久選手が萩原選手にとって想定内の攻撃を繰り返したりすると、萩原選手にチャンスが生まれると思います」

――ATTに移籍後、初戦となる牛久選手がどう戦うのか注目されますね。

「たぶん、いろいろと"いじられて"いるはずです。ATTは専門のトレーナーがしっかりサポートしてくれるので、新しい技術や戦術が取り入れられている可能性が高い。問題は、それをどれだけ試合で活かせるかどうか。新しい環境で学んだことをどれだけ自分のものにできているかですね」

―― 一方の萩原選手も、今年2月から土居進トレーナー(魔裟斗、内山高志らのフィジカルトレーナーを務めた)の下でフィジカル強化に励んでします。2人とも上に行くために変化を求めました。

「確かに、牛久選手がATTに移籍したのは、何か新しい風を取り入れたい、何かを変えたいという意志があったから。そういった変化への思い、これからどこを目指していくのかといった意志、そのエネルギーは試合に直結するものです。その点では、牛久選手はかなり期待できると思います。

 萩原選手も、総合での戦い方を深く見つめ直していると感じます。前回の勝利も、そういう自己探求の成果だったんじゃないかと。だから、彼の試合に対する意欲、能力もまだまだ成長していると思います。お互いに新しい何かを持ってこの試合に臨むわけですから、非常に見ごたえのある戦いになるでしょうね」

【プロフィール】
■髙阪剛(こうさか・つよし)

学生時代は柔道で実績を残し、リングスに入団。リングスでの活躍を機にアメリカに活動の拠点を移し、UFCに参戦を果たす。リングス活動休止後はDEEP、パンクラス、PRIDE、RIZINで世界の強豪たちと鎬を削ってきた。格闘技界随一の理論派として知られ、現役時代から解説・テレビ出演など様々なメディアでも活躍。丁寧な指導と技術・知識量に定評があり、多くのファイターたちを指導してきた。またその活動の幅は格闘技の枠を超え、2006年から東京糸井重里事務所にて体操・ストレッチの指導を行っている。2012年からはラグビー日本代表のスポットコーチに就任。

◆Twitter:@TK_NHB>>

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