東京2025世界陸上を前に三浦龍司が発揮した「今年の練習の成果」「自分でも出力が上がっているのを感じる」
好走したダイヤモンドリーグ・モナコ大会のわずか8日後、ホクレン網走大会で5000mに出場した三浦龍司 photo by Wada Satoshi
【"絶対王者"エルバカリとの接戦を振り返る】
三浦龍司(23歳・SUBARU)が東京2025世界陸上に向けて好調をキープしている。
7月11日、世界のトップ選手が集うダイヤモンドリーグ・モナコ大会の3000m障害で、8分03秒43と自らの持つ日本記録を6秒以上も更新し、2位に入った。それから8日後、三浦はホクレンディスタンスチャレンジ第5戦・網走大会5000mB組に出場した。
レースがスタートすると、実業団や大学の外国人選手と先頭集団を形成。ペースの揺さぶりにも動じることなく、周回を重ねた。そして、ラスト1周でアクセルを踏んで13分28秒28でゴール。「ここからしばらくレースがないので、いい刺激を入れることができました」と笑顔を見せた。
大学卒業後も三浦を指導している順天堂大の長門俊介駅伝監督も満足そうな笑みを浮かべ、こう話した。
「(8月下旬に)ダイヤモンドリーグのファイナル(スイス・チューリッヒ)がありますし、モナコからのフライトも長かったので、今回は走らなくてもいいかなと思っていたんです。
ただ、これまでも5000mは出ていましたし、1本入れておくと脚が持つんですよ。最終組(A組)はちょっと設定タイムが速いので変更してもらい、今回は13分30秒ぐらいでいければいいかなって思っていました。三浦は1周目からキツかったらしく、移動の疲れや暑さが影響したようですが、思ったよりもタイムはよかったのでホッとしました」
海外レースに挑戦し、長距離の移動に慣れているとはいえ、湿度の低い欧州の気候からすると、この日の網走は気温28℃、湿度78%で非常に蒸し暑く、体への負担は決して少なくなかったはずだ。そういう難しいコンディションのなかでも走りがブレず、結果を出す姿にはトップランナーとしての矜持が垣間見えた。
モナコのレースでも、オリンピックと世界陸上をいずれも2連覇中の"絶対王者"ソフィアン・エルバカリ(モロッコ)に先行されたが、徐々にスピードを上げ、ラスト80mではトップに躍り出た。最後の最後で差されてしまったが、今季世界ランク3位となる、エルバカリの東京五輪(8分08秒90)、パリ五輪(8分06秒05)の優勝タイムよりも速いタイムをたたき出した。
三浦はモナコでのレースを、こう振り返った。
「エルバカリとの距離は冷静にとらえていたんですけど、ラストで2位集団を抜け出した時、彼が結構ペースを落として、意外と近くにいたんです。僕はラストスパートをかけている状態だったので、この勢いなら追いつけるかなと思っていました。実際、一瞬ですけど前に出ましたが、相手はラストに備えていたので、最後の障害を越えてスパートをかけてくるだろうなと思っていました。僕もラストスパートをかけていたんですが、及ばなかったですね」
三浦には相手の余裕度が見えていたようだ。一緒に走れば、その強さは身近にいて、より鮮明に感じられる。だが、相手がスピードを落としたときに一気にトップスピードを上げて追いつき、一瞬でも前に行くレースができた。
「レースの設定タイムが速かったですし、僕もそこはガツガツいかずに冷静にいこうと思っていました。ラップを見ると、今までで一番速かったですし、ラストスパートもすごくいい状態でしたので、そういうところを見ると、地力がまた上がってきたのかなと思います」
1 / 2
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

