歌舞伎町の「伝説のキャバ嬢」のレスラー人生は飲みの席での叫びから始まった 丸藤正道に「プロレスラーになりてえ!」 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

【丸藤に対して「プロレスラーになりてえ!」】

 震災の2カ月後に上京。歌舞伎町のキャバクラで働き始めた。しかし、仙台と歌舞伎町では客層が違う。田舎っぽく、性格も大人しいリアラは、歌舞伎町ではウケが悪かった。

「派手でイケイケのお兄さんたちにどうやったら好かれるのか考えた時、フルチェンジというか、お酒をとにかく飲みまくろうと思いました。もともと、お酒は弱かったんですけど、飲んでは吐いて、飲んでは吐いてを繰り返して、1年かけて克服したんです」

 酒を飲むとリアラは、「テンションが20倍」になるという。飲み始める前と、飲んだあとのギャップが面白がられた。歌舞伎町「蘭〇」では、1日最高29卓被り、バースデー月指名500組、3年連続シャンパンタワーを達成。その後に入店した「ルシアン」、「オレンジテラス」でも1カ月でNo.1になる。最高月収は300万円を超え、「伝説のキャバ嬢」と呼ばれるようになった。カリスマキャバ嬢・愛沢えみりのプロジェクトメンバーにも抜擢された。

「全国からキャバ嬢の女の子が会いに来てくれるようになりました。『私も東京に行きたい』『リアラさんが憧れです』って言われて。20歳くらいの子が自分のお金で来てくれて、嬉しかったですね」

 相変わらずプロレスが好きで、プロレスバーにも通った。キャバクラの客とアフターで行く店でプロレスラーにも遭遇した。レスラーたちが「プロレスラーは大変だけど楽しいよ」と話すのを聞いて、「自分も"そっち側"に行きたい」という気持ちが芽生えた。

 ある日、飲みの席でプロレスリング・ノアの丸藤正道と一緒になる機会があった。酔っ払ったリアラが「プロレスラーになりてえ!」と泣き叫ぶと、丸藤はすぐにサイバーファイトの高木三四郎社長にコンタクトを取ってくれた。

「あそこにいた9割の人が、鼻で笑ってたんですよね。『どうせ無理だよ』みたいなことも言われて。でも丸藤さんだけは応援してくれたんです。本当にかっこいい。恩人です」

 高木社長との面接で、リアラはありのままを話した。運動経験もなく、年齢も30歳を過ぎている。でもプロレスを好きな気持ちは負けない。すると高木社長は「君のこと知ってるよ」と言い、何ひとつ否定せずに「挑戦したほうがいい」と言ってくれた。ガンバレ☆プロレスのコーチを紹介され、リアラは念願の練習生となる。運動経験のないリアラにとって、茨の道が始まった。

(後編:デビュー前からやられっぱなし それでも、ウナギ・サヤカ戦も泥臭く闘って「爪痕を残す」>>)

【プロフィール】
●リアラ

1989年3月23日、宮城県栗原市生まれ。高校卒業後、地元のスーパーに就職するが、半年で退職。仙台市国分町のキャバクラに勤め始める。No.1を取った後、2011年に上京。歌舞伎町でもNo.1になり、1日最高29卓被り、バースデー月指名500組、3年連続シャンパンタワーを達成。「伝説のキャバ嬢」と呼ばれるようになるが、プロレスラーになる夢を諦めきれず、2022年6月、ガンバレ☆プロレスの練習生となる。2023年4月と5月、春日萌花とエキシビションマッチを行ない、5月5日、後楽園ホール大会でデビューした(対YuuRI)。155cm、49kg。Twitter:@puusan1580

【大会情報】
◆大会名
ガンバレ☆プロレス「WRESTLE SEKIGAHARA 2」

◆日時
2023年7月9日(日) 開場13:00 開始14:00

◆会場
東京・大田区総合体育館

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