「キック界のカリスマ」立嶋篤史は、51歳の今もリングに立つ 100戦目はTKO負けも「この表現方法を続けていきたい」 (2ページ目)
50歳を越えた今も、30キロのロードワークとジムでの練習を怠ることはないという。それが勝利に結びつくのか。
試合開始のゴングが鳴る。
サウスポースタイルの松元の右ジャブで立嶋がバランスを崩す。前に、前に出ようとするものの、なかなか有効打が出ない。逆に左ストレートを顔面に浴び、棒立ちになる場面が見られた。
2ラウンド目になると、立嶋はさらに劣勢になった。バランスを崩して倒れそうになり、ロープを掴んだシーンで観客からため息が漏れる。コーナーに詰められ、松元の連打で防戦一方になったところで、立嶋コールと松元コールがぶつかりあった。
立嶋の顔が鼻血で赤く染まっている。パンチもキックも相手に届かず、また連打を受けて棒立ちになった。2ラウンドが終わった瞬間、再び両者のコールが飛び交った。
3ラウンドが始まっても、立嶋は主導権を握れない。攻撃は空を切り、相手のパンチを顔面に受けて倒れそうになる。かつて、何度も立嶋を救ったヒジによる攻撃も不発に終わる。
終盤に松元がラッシュをかけると、「倒せ! 倒せ!」という声援と悲鳴が重なった――左フックで立嶋が倒れた瞬間、レフェリーが試合を止めた。2分59秒、TKO負けだった。
試合後、自分でバンテージを外しながら、立嶋は記者の質問に対してポツリポツリと言葉を吐き出した。報道陣は4名しかいない。立嶋は言う。
「これまで悔しくない日は一日もなかった。言葉にできる思いもあれば、できない思いもあります。派手にKOで勝った時でも、悔しい思いがありました。
(今日は負けたが)悔しいという点では同じです。『悔しかったら、頑張れよ』と自分に対して思います。それもこれまでと変わりません。もうちょっとだけのこの表現方法(キックボクシング)を続けていきたい」
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