「ボクサー那須川天心」を井上尚弥のいとこ・浩樹が分析 パンチ力問題、尚弥との比較の声についても語った
キックボクシングで42戦全勝(28KO)の"神童"那須川天心(帝拳)が、プロボクシングデビューを果たした。
4月8日、東京・有明アリーナで行なわれたスーパーバンタム級6回戦。日本バンタム級2位の与那覇勇気(真正)を相手に大差の判定3-0(59-55, 60-53×2)で勝利した。那須川が試合後に「攻撃はほぼ全部見えた。ダメージもない」と語った通り、圧倒的なスピードで相手を翻弄し攻撃を当て続けた。
非凡な才能を評価される一方で、KOできなかったことでパンチ力を疑問視する声も散見される。このデビュー戦を、現役のボクサーはどう見たのか。元WBOアジア・パシフィック・スーパーライト級王者で、"モンスター"井上尚弥のいとこである井上浩樹に印象を聞いた。
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ボクシングデビュー戦で判定勝ちを収めた那須川(右)この記事に関連する写真を見る――天心選手のデビュー戦全体の感想からお願いします。
「まず印象的だったのは、"魅せ方"がうまいこと。入場のシーンや試合後のマイクもそうですし、試合中もお客さんを楽しませるような表情や動きをしていました。そういう面で、プロフェッショナルだなと思いましたね。ボクサーとはちょっと毛色が違うというか、お客さんを意識した振る舞いは、僕たちも学ぶ部分があるとすごく感じました」
――闘いぶりはどう映りましたか?
「非常に身体の使い方がうまかったですね。普通はあれだけ動くと、疲れて最後までもたないんですけど、6ラウンドずっと動き続けていた。同じサウスポーのロマチェンコ(※)をちょっと意識しているのかな、とも思いましたね」
(※)ワシル・ロマチェンコ/ウクライナ:元世界ライト級3団体統一王者で3階級王者 。圧倒的なテクニックで"精密機械"と呼ばれる。サイドステップも交えた華麗なステップで相手のパンチをかわし、多彩で細かいパンチを当て続けてのTKO勝ちが多い。
――確かに、動いて相手の攻撃をかわし、細かくパンチを当て続けるという点はロマチェンコ選手と重なる部分がありますね。
「そうですね。力を込めたパンチは、ダメージは与えられるんですけど、どうしてもスピードが落ちます。攻撃に意識がいきすぎて、ガードが甘くなってカウンターをもらうといったリスクもある。天心選手の場合、パワーパンチは多くなくていいというか、なくても相手をあれだけ翻弄して一方的に闘えましたから、勝つことだけを考えたら力を込めたパンチは必要ないでしょう。
また、どんなポジショニングからでもパンチが打てる、打ち続けられるのは、自分の身体の動かし方をよく理解しているからできることだと思います」
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