「ボクサー那須川天心」を井上尚弥のいとこ・浩樹が分析 パンチ力問題、尚弥との比較の声についても語った (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 撮影●山口裕朗 photo by Yamaguchi Hiroaki

――「身体の動かし方を理解している」とは?

「身体の使い方がわかっていると、例えば同じ1秒間でも、その中での動きの数が変わってきます。天心選手は1秒間で5回動けるのに対して、与那覇選手は2回しか動けない、といった感じです。時間軸の違いのようなものを感じました。だからこそ、『ココ!』というタイミングを逃さずにパンチが打てるんだと思います」

――天心選手は相手を倒すにしても、パンチのタイミングやキレで倒すタイプの選手なのかもしれませんね。

「そうですね。デビュー戦でKOはできませんでしたが、倒れてもおかしくないパンチは5発くらい入っていたと思います。それほど、左ストレートのタイミングはかなりよかったですからね。むしろ、『これで倒れないんだ』と驚いたほどです。そこは、与那覇選手の『絶対に倒れない』という強い気持ちを感じました」

――まだデビュー戦を終えたばかりですが、今のスタイルのままでも、天心選手はKOで勝つことはできる?

「そう思いますね。そのくらい、パンチを当てるタイミングが抜群にいいので」

――試合は与那覇選手が前に出続けて、天心選手がそれをいなして空転させる展開でした。与那覇選手の戦い方はいかがでしたか?

「天心選手がスピードで翻弄してカウンターを合わせるスタイルで、与那覇選手が前に出続けるスタイルですから、あの展開になりますよね。天心選手はキックボクシング時代、ロッタン(・ジットムアンノン)との試合で前にガンガン来られて、延長までもつれました(3-0の判定で勝利)。最も苦戦した試合だったと思うので、前に出たほうがチャンスはあるのかもしれません。

 ただ個人的に、オーソドックススタイルである与那覇選手の、サウスポーの天心選手に対する攻め方、詰め方はあまりよくなかったように見えました。天心選手がやりやすいポジショニングで闘っていたので、『もっと嫌な攻め方もあるけどなぁ......』と思っていましたね」

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