ブロディ、ハンセンら史上最高の「世界最強タッグ」大阪大会。だがケンコバは、天龍源一郎が出るメインカードに「がっかり」した (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji
  • 山内猛●撮影 photo by Yamauchi Takeshi

――全日本から新日本にUターンした、長州さんへの当てつけだったかもしれませんね(笑)。

「ただ、俺はあの頃の倉持さんの実況が大好きでした。何が好きかって、結果が出る前から勝敗について話しちゃうこと。この天龍vs高木戦も『高木功が勝てるわけがありません!  2人の力の差を考えると勝てるわけありません! でも何か爪痕を残せ!』って(笑)。そんな実況ありますか? これは最高でしたね」

――画期的な実況ですね。そろそろ、本題の天龍&原vsブッチャー&T.N.T.戦の話を伺えたらと思います。先ほど、この試合がメインで「がっかりした」と話していましたが、より詳しく理由を教えていただけますか?

「これもまずは当時の、全日本の大阪大会の現実から話さないといけません。三沢光晴さん、川田利明さん、小橋建太さん、田上明さんの四天王時代から全日本を見始めた人は『ウソつけ!』って信じてくれないかもしれないんですが、この四天王前の全日本の大阪大会は、東京で組まれるカードに比べると明らかに"格落ち"のカードが多かったんです。

 表現は悪いですけど、大阪のお客さんを『なめた』というか......プロレスブームで会場にお客さんは入っていたけど、『なんでやねん?』ってツッコミを入れたくなるくらいカードは弱かった。だから俺は全日本の大阪府立体育会館での試合に、ちょっと辟易としていたんです。僕と同じ世代の人なら共感してくれる人もいると思いますよ」

――そうだったんですね。

「でも、大阪スポーツか週刊プロレスか忘れましたけど、この1987年の史上最高とも言っていい豪華タッグの面々を見て、『これは抑えなアカン』となったんです。アルバイトでコツコツ金を貯めて、2階席のチケットを買って。カード発表を今か今かと心待ちにしていたら、メインが天龍&原vsブッチャー&T.N.T.やったんです。

"龍原砲"は初の最強タッグ参戦で、ブッチャーも約6年半ぶりの全日本復帰と話題はありましたけど、あれだけに楽しみにしていたのに『このカードがメイン?』となって。当日は会場もなんとなく冷めた空気が漂ってましたが、それを覆すとんでもなく面白い試合になったんです」

(後編:「龍原砲」がブッチャーの頭を蹴りまくり、T.N.T.も頑張った。ケンコバが興奮した1987年の全日本「ベストバウト」>>)

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