ブロディ、ハンセンら史上最高の「世界最強タッグ」大阪大会。だがケンコバは、天龍源一郎が出るメインカードに「がっかり」した (2ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji
  • 山内猛●撮影 photo by Yamauchi Takeshi

―― 一方でハンセンのほうは?

「そっちも気を揉んでたんですけど、組んだのは体がポテッとしたテリー・ゴディ。ハンセンとゴディは、1983年8月のテリー・ファンク引退試合でタッグを組んでましたが、俺の印象は『なんや、この運動不足のおっちゃんのような体と、髪型がおばちゃんみたいな男は』でした(笑)。でも、いざ最強タッグが開幕したら、このゴディが強いこと強いこと。ブロディとのタッグはもちろんすごかったですが、ゴディ単体でもえげつないなって思ったんです」

――そして、この大会でブロディ&スヌーカvsハンセン&ゴディが実現しました。

「今でも鮮明に覚えていますよ。開幕2戦目の11月22日、後楽園ホールでの試合でしたね。まさに夢の対決で興奮がハンパじゃなかった。結果は両者リングアウトでしたけど、そんなことより、ハンセンとブロディが戦ったということの感動がものすごかったです」

――戦うはずがないと思われていた2人ですからね。この年の最強タッグは他に、ドリーとテリーのザ・ファンクス、マーク&クリスのヤングブラッド兄弟、トム・ジンク&ザ・ターミネーター、鶴田&谷津嘉章、馬場&輪島大士、タイガーマスク&仲野信市、ザ・グレート・カブキ&ジョン・テンタ、ラッシャー木村&鶴見五郎。合計12チームと豪華絢爛でした。

「結果は、鶴田さんと谷津さんの五輪コンビが優勝しましたが、この豪華メンバーの中でタイガーマスク&仲野組が頑張っていたことも覚えてます。勝ち点は6で8位タイだったんですが、このタッグを基に翌1988年に高木功さん、田上明さん、高野俊二さんなどが入って決起軍を結成した。入場曲は爆風スランプさんの『Runner』でね(笑)。

 俺はその中で、高木さんが好きだったんです。天龍さんに思いっきりしばかれて、ボコボコ顔面に蹴りを入れられているところも。なので、今回、紹介する試合は1990年1月28日の『天龍vs高木』でもよかったんですけどね」

――後楽園ホールでの一騎打ちですね。

「この試合も大好きなんですよ。忘れられないのが、日本テレビの倉持隆夫さんの"勝手な"実況です(笑)」

――倉持さんは、昭和の「全日本プロレス中継」で長年に渡りメインを務めた名物アナウンサーでした。

「この試合、天龍さんは得意技のテキサスクローバーホールドではなく、サソリ固めで試合を決めた。そうしたら、倉持さんがそれを『長州(力)へアピールしているような、サソリ固め!』って実況したんです。そんな『見ているか!長州』みたいなことを勝手に言ったらダメですよね(笑)」

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