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【ミラノ五輪】三浦璃来が木原龍一に伝えた「約束」 逆転金メダルへ導いた言葉と歴史

  • 小宮良之●取材・文 text by Yoshiyuki Komiya

金メダルを獲得した「りくりゅう」ことペアの三浦璃来と木原龍一 photo by Sunao Noto / JMPA金メダルを獲得した「りくりゅう」ことペアの三浦璃来と木原龍一 photo by Sunao Noto / JMPAこの記事に関連する写真を見る

 2月16日(現地時間)、ミラノ。ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート、ペアフリーでは暫定1位の選手が座るリーダーズ・チェアに、「りくりゅう」の呼び名で親しまれる三浦璃来と木原龍一のふたりが座っていた。ショートプログラム(SP)こそリフトで不覚を取って5位発進だったが、フリーはなんと歴代最高スコアの158.13点で大逆転していた。

 ふたりは、自分たちのあとで演技を続けるペアたちに惜しまず拍手を送っていた。暫定2位、3位の他国の選手たちは黙って演技を見ているだけだった。自分を脅かす演技なわけで気が気ではないのだろう。しかし、ふたりはその競争原理から脱していた。

「ペアが好き」。勝負以上に、競技自体への愛情がにじみ出ていた。ライバルたちの演技を手放しで称賛できる。それは、「真の王者の肖像」を結ばせた。彼らの最大の敵は、自分たち自身だった。

 リーダーズチェアで拍手する姿は、双子のように同期した。スケートの捉え方が似ているのだろう。それは審美眼のようなものか。さもなければ、スケーターとしての生きざまと言ってもいい。

<なんて美しい技だ。これを完成するまで、どれだけの練習が必要だったか??>

 一瞬で心中を押し測って感動し、手を叩く。結局、りくりゅうは2位に約10点差をつけ、破格の金メダルを手にした。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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