「強すぎるRIZIN女王」は教員を目指す大学院生だった。伊澤星花が振り返る柔道から総合格闘技への転向と、頂上までの2年間 (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • Photo by 東京スポーツ/アフロ

――打撃練習を本格的にやりだしたのが、プロデビューの後というのは驚きです。

「だから最初の試合はタックルに行くしかなくて。選択肢が限られていた分、やることが決まっていたので『ドンドン行くだけ』って感じでしたけどね。でも、上に行くには打撃が必要だと思い、今のK-Clannのジムで本格的に教えていただくようになりました」

――今後は打撃で倒すことも考えていますか?

「選手によって戦い方のタイプがあると思いますし、私はスピードとタイミングを大事にしたい。倒すことを重視しすぎて筋肉を必要以上につけてしまうと、スピードが少し落ちてしまいますから、そこは注意しています。打撃を当てるタイミングと拳を握るタイミングを合わせられるようになって、速いパンチが打てれば自然と倒せるようになるんじゃないかと思っています」

「ジョシカク」ならではの魅力

――今年4月の「RIZIN.35」でベルトを獲ったあとには、女子スーパーアトム級のトーナメント開催をアピールされていました。戦いたい相手はいますか?(インタビュー後にトーナメント開催が決まり、7月7日にカードが発表。伊澤はブラジルのラーラ・フォントーラと1回戦を戦う)

「ファンからは『この選手との対戦が観たい』という声もありますが、今は『誰とでもやりたい』という気持ちが強いです」

――今後、「ジョシカク」を引っ張っていくという自覚はありますか?

「もちろんです。女子の格闘技は、そこはパワーが違うので仕方がない部分もありますが、どうしても男子に比べて迫力に欠けると思うんです。ただ、コスチュームの華やかさといった視覚の部分だけでなく、女子だから伝えられる格闘技の魅力もあると私は思っています。

 例えば、男子だとフィジカルの強さでどうにかできてしまう攻防などを、技術で魅せるとか。細かい攻防にはなりますが、試合に奥深さが出るんじゃないかと思います。そのためには各選手がより技術を高めないといけないですけどね。将来的に自分が培った技術を伝えることも考えて、技術の解説もしっかりできるようになりたいです」

(後編:2冠女王の覚悟。「お客さんを楽しませないと、プロの格闘家でいる意味がない」>>)

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