UFCからプロレスに復帰後、朱里が直面した最愛の母の死。そこで「人生を賭けてプロレスをやる」と誓った (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

 言葉にするのは苦手。しかし、なんとか人に伝えるために、ミュージカルや舞台、落語や絵画を見て勉強している。さまざまなところにヒントは転がっているのではないかと考えている。

 2021年4月より、ジュリアとのタッグチーム名を「アルト・リヴェッロ・カバリワン」(通称アリカバ)と命名。「美しき狂気」と呼ばれるジュリアと、「モノが違う女」と呼ばれる朱里。それぞれのルーツから、イタリア語とタガログ語を組み合わせて「モノが違う狂気」という意味を持つ。

「ジュリアちゃんはすごいですよ。とにかく深く考えている。見せ方もすごくて、ずば抜けてますね。言葉も巧くて、みんなが注目したいと思うような発言をしているし、自分も勉強させてもらっています」

 ジュリアとは「似ている部分もあるけど全然違う2人」と話す。生きてきた道も違うし、経験してきたものも違う。しかしジュリアも朱里も、それぞれ面白い人生を歩んできた。その2人が組んだら想像を遥かに超えたものになるのではと、朱里は考えている。

 次にスターダム最高峰の赤いベルトに挑戦する時には、今度こそベルトを掴み獲り、チャンピオンとして見ている人の心に残る試合がしたい。

 今、どんな思いでプロレスと向き合っているのだろうか。

「自分の思い描いている世界観を出したい。そのためにはどうすればいいか、毎日毎日、悩み、考えています」

(後編:「今のプロレス=危険すぎる」の批判は「簡単に言ってほしくない」>>)

【プロフィール】
■朱里(しゅり)
1989年2月8日、神奈川県海老名市生まれ。164cm、58kg。日本人の父とフィリピン人の母を持つ。2008年10月26日、ハッスル栃木大会でプロレスデビュー。翌年12月、SMASH旗揚げに参加。2012年1月、Krush.15でキックボクシング初参戦。2014年3月、初代Krush女子王座チャンピオンに輝く。2016年1月、パンクラスと複数試合契約を結び、翌年5月、ストロー級クィーン・オブ・パンクラス王座を獲得。7月、UFCとの契約を発表。2019年1月、MAKAIにてプロレス復帰。2020年11月、スターダム所属となる。2021年12月29日、林下詩美の持つワールド・オブ・スターダム王座に挑戦し、第14代王者となった。Twitter:@syuri_wv3s

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