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「朱い」ベルトを巻いた朱里が抱く「今のプロレス=危険すぎる」批判への違和感。「簡単に言ってほしくない」

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

■『今こそ女子プロレス!』vol.4
「モノが違う女」朱里インタビュー・後編

(中編:UFCから復帰後、「人生を賭けてプロレスをやる」と誓った瞬間>>)

 昨年8月、『女の答えはリングにある』(イースト・プレス)書き下ろしのため、葛藤を抱えていた朱里にインタビューをした。それから半年が経ち、彼女を取り巻く状況は一変している。

リング上で激しい戦いを繰り広げる朱里 photo by 東京スポーツ/アフロリング上で激しい戦いを繰り広げる朱里 photo by 東京スポーツ/アフロこの記事に関連する写真を見る 昨年、朱里はスターダム真夏のリーグ戦「5★STAR GP 2021」で優勝し、林下詩美の持つワールド・オブ・スターダム王座(通称"赤いベルト")への挑戦権を獲得した。12月29日、両国国技館大会で林下と対戦し、新技「朱世界」でフォール勝ち。赤いベルトの第14代王者となった。

 赤いベルトのことを、朱里はSNSなどで「あかいベルト」と書いていた。本当は「朱いベルト」と書きたかったが、チャンピオンになってすぐにそう書くのは違う気がしたという。初防衛に成功したことで、初の自伝『朱里。 プロレス、キック、総合格闘技の頂点を見た者』(徳間書店)の後半では、堂々と「朱いベルト」と表記している。

自分にしか創り出せない「朱世界」

 朱里は自分が表現する世界のことを「朱世界(しゅせかい)」と呼んでいる。わたしは朱里の自伝を読んで、朱世界のイメージが大きく変わった。それまで漠然と「格闘技的な強さとプロレス的な強さが融合した世界」だと思っていたのだが、もっと繊細で、朱里の内面が表出した心象風景のようなものが浮かび上がってきた。

「キックボクシング、総合格闘技、プロレスを経験した自分にしか創り出せない世界です。対戦相手のリミッターを外して、いま以上の力を引き出す。その上で自分が輝く。見ている人の心に残る試合をすることをイメージしています」

 自分の代名詞になるような言葉を作りたいとずっと思っていた。プロレスデビューしてから世界を意識していたこと、周りから「朱里といえば世界」と言われたこと、師匠のTAJIRIにも「朱里ちゃんは世界に行く人だよ」と言われていたことから、ある時、ふと「朱世界」という言葉が浮かんだという。

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