祝・国民栄誉賞。謎めいた伊調馨の人柄がわかる「3つのキーワード」 (6ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by JMPA

 伊調は「自分が出場する階級の選手全員がライバルです」とは言うものの、アテネオリンピックから12年間、ずっとライバルとして意識し続けてきた選手は吉田の他にいないだろう。それは、吉田も同じだ。自らを高めてくれる最強のライバルを追い求め、ふたりが辿り着いたのが、お互いだった。階級が違い、マットで闘うことはないが、伊調と吉田は互いに尊敬し合い、女子レスリングをリードしながら、ライバルに負けまいと励んできた。

 自分を高めてくれるライバルを常に意識し、一切妥協せず、とことん自分を追い込んでレスリングを極めようと日々努力しながら、自分を支えてくれる人への感謝も忘れない――。そうしてひとつひとつ壁を乗り越え、一日一日強くなり、伊調馨は1896年から続く近代オリンピックの歴史に名を遺す「偉大な英雄」となった。

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