祝・国民栄誉賞。謎めいた伊調馨の人柄がわかる「3つのキーワード」 (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by JMPA

「リオでの決勝戦、最後は母が助けてくれたので、母に伝えたいという気持ちもあるが、母はきっと、『死んだ人間に感謝するのではなく、生きている人間に感謝しろ』と言う気がします。これまで自分を支えてきてくれたみなさんに伝えたいです」

 伊調は子どものころから両親に、「人として、迷惑をかけるな。おごるな。有頂天になるな。勘違いするな」と教え込まれてきた。所属ではない警視庁・第六機動隊から温かく迎えられて指導を受け、男子の代表合宿にも参加させてもらっている自分は、「誰よりも多くの人のお世話になっている」と感じている。

 また、オリンピックイヤーに入ってすぐの今年1月、ロシア・ヤリギン国際大会でまさかの黒星を喫した際には、「今回負けたら、本当に多くの人が自分以上に悔しがってくれました。『そうか、そんな思いをさせてしまってゴメンナサイ』という気持ちです」と語った。

 この日の会見でも、伊調は「感謝」を連発。最後は、レスリングへの感謝も忘れない。

「レスリングが私自身を作ってくれた。3歳からレスリングを始め、多くの人と出会いがあり、楽しさ、おもしろさ、やりがい、難しさを教えてくれました。レスリングがなかったら、ここまで人生をかけることはありませんでした」

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